ロンドン旅行記最終日
祖父の訃報を受け帰国後すぐに富山に向かう必要ができた。複雑な気持ちで迎えた朝。
起きたのは4:45。超早起き。始発の地下鉄に乗って空港を目指す。
おそろしく重くなったスーツケースを引っ張ったり持ち上げたりしながらフロントへ。たくさんありがとうを伝えて地下鉄の駅へ向かった。ほんと良いホテルだった。またロンドンに来る時も同じホテルに泊まりたいな。
早朝のロンドンは秋みたい。爽やかな空気の中ごろごろとスーツケースを転がす。
改めてお世話になったアールズコート駅をみる。毎日ここから色んな場所に向かった。空港寄りにあるのにロンドン市内の観光地へは30分以内で行かれるアクセスの良さには大変助けられた。
最終日なのでむやみやたらと写真を撮りがちである。この地下鉄のロゴもレトロで可愛くて好きだったな。線によって色の組み合わせが変わったりしておしゃれな上にわかりやすかった。
鉄道オタク的な写真も撮ったり
ほとんどだれも乗ってない車内の様子などもおさめたりした。
しばらくすると大きなスーツケースを持った人々で車内はいっぱいになった。旅行のおわり。でも感傷に浸っている暇などなく正直出国が1番緊張した。
空港に着いてまずはチケットの発行から。セルフ。機械にパスポートをかざすも絶対に搭乗券じゃない紙が出てくる。うそーん。なんでー。
人にききたいが、係の人などいない。機械と私。私と機械だ。何度か試してやっと搭乗券が出てきた。なんなんだー。なんなんだいったいー。
次に預け入れ荷物の手続き。こちらも驚くべきことにセルフだ。しかも朝早いからか全然空いてない。並ぶところに人係りの人が1人だけいて基本的にパスポートと搭乗券のチェックのみを行っている。
前の人がやるのを真剣に眺めていたがみんなあたふたでめちゃくちゃで荷物が流れなかったり機械が変な音を立てていたりして大変そうだった。
1人だけしかいない係りの人は何か起こっても自発的には動かず呼ばれてはじめて面倒臭そうにそちらに向かう。そして私じゃわからない的なことを言い誰かを呼びにどこかに行ってしまったりして要するに恐ろしく回転が悪かった。
これは時間に余裕を持っていないと大変だ。
ようやくセルフの預け入れ機械とご対面。
台の上にスーツケースを乗せると22.7キロだった。預け入れ荷物の上限は23キロ。ふいー。
出てきた細長いタグを自分で付けて送り出すとなんともいえないひと仕事終えたかのような達成感を味わえた。
この調子だとおそろしく時間がかかりそうだぞということで手荷物検査もとっととすませることにする。チェックの列もカオスで夫婦で奥さんの方だけなぜか搭乗券かざしてもゲートが開かないとかでおーまいがーって言ったりしていた。明らかに人の配置がおかしいヒースロー。ストライキは成功したというのに。朝早くから働く人少ないんだろうな。
ゲートのなかに入ると人人人で、こちらもやばそう。イギリスの手荷物検査はとても厳しい。
職員の人が叫んでいる。
化粧品とかは全部この透明な袋に入れてね!!
私はやばそうなものは全てスーツケースに投入してきたので涼しい顔をして手荷物を預けたんだけど、怪しい、英語のわからなそうなアジア人の登場に職員のお兄さんはフォーカスをあて。
きみ!大丈夫?リップとか、化粧水とかハンドクリームとか入ってない?!とめっちゃきいてくる。
私の手荷物にはチョコレート(お土産)しか入っていなかったので、オンリーチョコレート、センキューといって検査へ。くーるやん。
手荷物は預けられてから左右に仕分けをされる。
右は要確認(つまりカバンの中身を開け中をいちいち確認するめっちゃ時間のかかりそうな上に手荷物検査に引っかかったあわれなる人びとの長蛇の列に並ぶ運命)左はお咎めなし。
9割くらいが右に行くので笑ってしまった。荷物が右に行くたびにおーまいが、と人々はいう。
もちろんオンリーチョコレートの私はお咎めなし。いやーよかったよかった。謎の優越感に浸りながらフリータイムへ。
ヒースロー空港はとても広くて免税店がたくさんあった。お土産はこれでもか、というほど買ったんだけど一通り見て回る。
地下鉄のロゴのキーホルダーを父に大きなシールを自分用に買った(父はあげたときいらなそうにしていたのに本当に鍵につけて大事に使ってくれていた、絶対好きだと思ったんだよなー地下鉄のロゴ)旅行記のノートに貼ろうと思う。
あとは水を2本。
ハリポタのお店もあるのだなあなどと思いながらも常に気になるのは掲示板。
なんでも搭乗口によっては空港内で電車に乗ったりしなければならないくらい遠いところにあるらしいの。私の飛行機は搭乗口の表示がなかなかされずドキドキした。
幸い電車に乗らなくても良い、めっちゃ近い搭乗口だと案内されよかたよかた。搭乗口に行くとひさかたぶりの日本語がきこえてきて安心する。なんとなくわかるのと確実にわかるのって違うよな。
帰りもブリティッシュエアウェイズでした。
旅行記を書こうとノートをポケットに突っ込み。
いざ。日本へ。
帰りは英語に慣れて良い気になっていたので
軽食と共にビールを2本もらいご飯の時にもビールを2本貰うなどして半ば酔っ払いながら過ごしました。飲みきれなくて持って帰った。
ご飯は謎のパスタ。
こちらは朝ごはん。ブリティッシュブレックファースト。
旅行記を書き、眠くなったら寝て、また旅行記を書きみたいな過ごし方をした。帰りは勝手にイヤホンを引っこ抜いたり椅子を戻したりする搭乗員はなく、あれはデフォルトではなかったのだと思った。
日本に着いた時は安心感とともに行きたいところに行けたんだという達成感、やり切ったという満足感を感じた。
遊びに行っただけなんだけれども、英語のできない私からするとなかなか勇気のいることだった。私って1人でいろんなところにいけるんだなという、自分に対する評価が上がりました。
この旅は私の人生のなかではなかなかの底辺にいるときに実施したことで、具体的にいうと、仕事もなく、お金もなく、彼氏とは良い感じではなく私という人間のことをあまり信じられない状態にいた。
でも私は1人でも楽しめるしどこにでも行ける!やりたいことはなんでもやろう!
人生は思ったより楽しい!
と思いなおした。旅って良いものだなと改めて。
また40になったら1人でロンドンに行きたいなと思う。10年後の私は何を思うのだろうか。
あんまり変わってはないだろうけど、少しは英語がわかるようになっているといいな。
羽田についたあとはスーツケースを受け取り電車で帰った。気が抜けたのか、京急線の切符をなくすなどしながらもお家に帰る。シャワーを浴びて1時間後にはまた母と妹夫婦と東京駅へ。富山行きの新幹線に乗った話は気が向いたら書こう。
兎にも角にも無事に帰ってこられてよかった。
そして思いの外、面白かったな。
ロンドン旅行記はこれでおしまい。
ロンドン旅行記8日目
朝起きても祖父の容態について続報はない。
心がざわざわしたが今日が実質最終日ということもあり予定を詰め込みまくっていたので朝早くに出かけた。朝食も抜く。
切り替えなければ。
目指すはパディントン駅!
くまのパディントンが好きなので聖地である。
とても大きい駅のようだ。
パディントン駅にはパディントンがいるらしくペルーからやってきたパディントンがブラウン一家と出会った1番ホームに立っているらしい。
さっそく1番ホームに向かう。
ここの…どこに…いる…んだ???
きょろきょろしながら歩くと
い、、、、???
いたー!!!!!!!!
かわ、いい!!パディントン!!
せっかくなので色々な角度から劇写!!!!
すごい名札もちゃんと再現されているんだ!!!
近くにはパディントンのベンチもあった。
マーマレードサンド持ってる。可愛い。
あまりの可愛さに写真を撮りまくりながらもやっぱりツーショット撮りたいよなと思う。
しかし朝8時前のパディントン駅である。
通勤の人が足早に歩いていくし旅行者は大きなスーツケースを引いて列車へと走っているしでみんな忙しそう。
そこに1人のマダムが。足早に歩いていたが足を止めパディントンの写真を撮っているではないか。ちょ、ついでにシャッター押してくれないかな。お願いすると、私急いでるからといいながらも撮ってくれた。
ありがとうマダム。良い人。
このパディントン駅にはパディントンカフェとパディントンショップもあるんだとか。
探すも、みつからず。駅の構内ってわからん。
正反対の場所にあった。
ここだー。
パディントンがお出迎えをしてくれる。
店内は可愛いのに店員は全然パディントンに熱がなくドトールの店員みたいな感じだ。それに驚くべきことにマーマレードサンドがメニューにないの。目を疑ったね。パディントンカフェなのに。パディントンといったらマーマレードなのに。店内にはマーマレードの木が再現されているというのに。とりあえずパディントンのカプチーノをいただいた。
推し活してるって感じ。
その後は近くにあるパディントンショップへ。
かわいい。パディントンショップにはありとあらゆるパディントングッズがありお土産用と自分用に爆買いしてしまう。
最近できたという紫色のエリザベスラインに乗って移動。車内が綺麗。冷房がある!ってどこかのガイドブックに書かれていたが…他の地下鉄には冷房ないのだろうか。そんなことってあるのか?ロンドンの人はどうやって夏を過ごすの?などと思いながら、次に向かうはリバティ百貨店。最終日なのもありここでお土産をたくさん買う予定だ。ロンドンの真ん中らへん。デパートなどがたくさんあり人通りも多い場所にあるらしいのでスリに注意が必要だ。
気合いを入れようと足を踏み出した瞬間、目の前をものすごい勢いで走る男と、その後ろを怒鳴らながら走るサラリーマンが通り愕然とする。
スリだ。本当にいるんだ。こわ。
幸い今まで何もとられてはいないが一気に現実味が増して不安になる。一旦気を落ち着かせようと駅前の公園のベンチへ。
公園は平和で新聞を広げるおじいちゃん、芝生の上で寝転がるお兄ちゃん、鳩と戯れるおじさんなどがいた。心を落ち着かせ開店時間間近になったのでリバティへ向かう。
うわー昔ながらのお店の外観が既に可愛い。チューダー様式とやらで建てられているんだそう。
現代的な道に突然当たり前のように堂々と鎮座していて素敵に目立っていた。
10時になり開店。いそいそと中に入るとそこはなんともフォトジェニックな場所だった。一階の雰囲気は売られているもの的に伊勢丹新宿店に通ずるものがあったが、吹き抜けの空間が開放的で歩いているとジブリの世界のようなわくわく感が湧き出てくる。
非日常なのにアットホームな雰囲気が漂っている。不思議な場所である。
この布の装飾とか可愛いの。
そしてそこかしこにリバティプリント。布は勿論小物や家具などそこかしこがリバティ。リバティ好きな人からしたらパラダイスだろう。
かつ自然光を大胆に取り入れたこの屋根。かっくいー。
などなどぐるぐる見て回りながら私が探していたのはカフェである。ここ、リバティのカフェではなななんと。終日アフターヌーンティーがいただけるとのこと。
アフターヌーンティーしてみたいと思えどなかなかうまく予定が組めず諦めかけていた私には朗報である。このために朝食を抜いたの。いざ、ブランチでアフターヌーンティー。
お店に入るとにこにこ明るい笑顔の店員さんがソファ席へ案内してくれた。メニューをみるとリサーチ通り本当にアフタヌーンティーがある。
誰も開店早々、1人でアフターヌーンティーを頼んでいる人はいなかったが、元気よく頼んでみた。紅茶はアールグレイ。
そういえばアフターヌーンティーなんて日本でもしたことないかも。初ヌン活がリバティのカフェだなんてなんかお洒落やんなんてにやつきながら待っていると、きました!!
どーん。ぬおお、素敵。想像以上にテンション上がる。お姉さんが下から順番に説明をしてくれた。かぼちゃとアボカドのサンドウィッチ。スコーン。フランボワーズのムースとチョコのマカロンとタルトシトロン。そんな感じだった。せっかくなので写真を撮って貰う。
美味しかったがなかなかのボリュームだった。朝食を抜いたのにサンドウィッチだけで結構お腹いっぱいになる。だが気合いで食べ切った。すごい。
なんにしても贅沢な時間だった。
そこからリバティを歩き回りお土産を爆買い。たくさん買ったので帰りは大きな紫色のリバティって書いてある紙袋を肩にかけて歩くことになった。
一度ホテルへ戻りパディントングッズとリバティグッズを部屋に置き、近くのスーパーへ。
Sainsbury'sで紅茶やビールやお菓子を購入。可愛いエコバッグも。これでお土産はじゅうぶん買った。行きすぎて店員さんに顔を覚えられており、ビール購入時には一応ね!って笑いながらパスポートを見せた。はじめて来店したときにはドキドキだったこのスーパーも慣れ親しんだ場所になりつつあったが、ここがみんなの日常だとしても私の日常になることはないんだなあ、なんて思った。本当にありがとうSainsbury's。とても良いスーパーだった。たくさんのお土産をホテルに置いて再び出かける。
最後に向かうは、大英博物館。
閉館時間までじっくり過ごす予定だ。
どどーん。もう驚かないけどすごく広そう。そして無料である!もう驚かないけど!
セキュリティチェックは他の場所よりも厳重だったし持ち込める荷物の大きさにも制限があるっぽかった。
中に入ると、ここはどこー!!?って感じ。外からみた印象と全然違う。大英博物館ってこんな感じなんだ。。
ここも果てしなく広そう。事前に見たいものがどこにあるのかピックアップしておいたけどそれにしても時間が足りない。
そして願わくばここも、ふらりと緩く寄ってぶらぶら気ままに見学したいものだなと思う。旅行は時間の制限があるからどうしたって急ぎ足になってしまうから。
ここにはやはり有名なものがたくさんあってときめいた。
おお、これが?って感じのものもの。
人面有翼獅子像。漢字で書くといかつい。
げいやーあんだーそんのねこ。かわいい。
パルテノン神殿などなど。
古代ギリシアの像。夫婦らしい。
うずくまるアフロディーテ。うつくすいー。
もあいぞう。
クリスタルスカル。インディー!実はにせものらしい。
双頭のヘビ。メキシコで儀式に使われていたらしい。色が鮮やか。
ジンジャーマン。たまたまミイラになったんだそう。
死者の書など。
これでもかこれでもかというほどの大量のミイラ(夢に出てきそう)
イスラム世界の天体観測器。メッカの方角を知るために使用されたらしい。
ルイス島のチェス駒。ハリポタのチェスのモデルになっているそう。セイウチの牙でできているらしい。
船のからくり時計。時間になると大砲の部分から煙が出たりしたらしい。
シヴァ神の像。
他にも世界史でやった文明のものものがたくさん展示されていた。実際に授業受けていた頃に行ったら面白かったんだろうな。メソポタミア文明とか、やったもんな。
あとは可愛かったものもの。
なにしてんだろ。
以下、ほとんどが副葬物。
大英博物館の展示物たちは冒険だー!みたいな感じで現地に向かい降り立った貴族たちがこれすごくない?!みたいな感じで自国に持ち帰ったものらしく、今でも各国からは返しなさいと言われているそうだ。知らない文化や歴史に触れ、知的好奇心や探究心が暴走しちゃったんだろうな。
確かにあまり褒められたことじゃないんだろうが、ひとつひとつ丁寧に展示されていることやその保存状態の良さ、そして誰でも無料で見学できるという環境を実現していることなどから、許してあげてちょうだいという気持ちになってくる。
いやしかし、いやはや、やはり広かった。日本のエリアもあったらしいけど全然回りきれなかったな。半日くらいいたのに。
閉館時間間際になると奥の方の部屋から立ち入り禁止になり数分ごとにアナウンスがなりじわじわじわじわと入館者達をエントランスへ押し出していく。私もぬるぬるっと押し出されてしまった。
さて美術館や博物館を訪れた時特有の濃い時間を過ごした後の脳みそが心地よく疲れた状態からの、ビール!最高だよねー!
と向かったのはTHE WIGMOREというお店。
ロンドン最後の夜、美味しいご飯を食べたいなと思って予約しておいたガストロパブである。
予約名がなぜか日本語で送信されていたらしく入店に手間取ったけど無事入店できた。老舗ホテルの1階にあるだけあり、ドアの付近にはガタイの良いドアマンのおじさまがいてドキドキした。
予約した人はパブの奥のなんかプライベートな空間みたいな場所に通される。
とりあえずビールとスコッチエッグをチョイス。
ビールは冷えていた深みのある味わい。生き返る。大英博物館のパンフレットを読みながら、ぬぬ…ウォレン・カップ!!み、みたかった!!
などと悔しがっていると、とがったエッグがやってきた!
さくさくにあがったうずらのたまご!そしてそこにかかっているのはスパイシーで美味しいカレーのソース。中は半熟で、とろりとした黄身とスパイスの風味が絶妙だった。そしておそろしくビールにあう!すごく美味しい。
一瞬で平らげてしまった。イギリスのご飯、美味しいよね。食事はあまり期待するな…みたいに言われることがおおいけど、私的にスーパーのお惣菜なども含めて全部美味しかった。
メインは隣のお兄さんが食べてて美味しそうだったパイを頼んでみる。もちろんビールのおかわりもお願いしてみた。
やってきたパイは大きくこんがり美味しそうな焼き色。
記念に写真を撮って貰った。
パイは熱々で切るとザクッと音がした。中には柔らかくほろほろになった豚肉。そのまま食べても美味しいし添えられていた辛めのBBQソースをつけても美味しい。つけあわせのポテトサラダがまためちゃくちゃ美味しい。はじめて食べる味。多分サワークリームとピクルスだろうか。今度作ってみよう。
そんな感じでにこにこ満足顔で出口までいくと、ドアマンのおじさんもにこにこ顔でドアを開けてくれた。素晴らしいご飯だった。
地下鉄でホテルに戻ってシャワーを浴びてから、ビールをちびちびやりつつ荷造り。預け入れの荷物は23キロを越えたらいけない。しかしながら行く先々でパンフレットを買いまくったこともありかなり重い。おまけにビールをいくつも入れてしまった。大丈夫なんだろうか。服やお土産のチョコなどを手荷物のリュックへ移動させるなどしてなんとかしまいこむ。よし寝るか、と横にぬるも、また開けてごそごそ。セキュリティチェックがとても厳しいらしいので目薬やリップクリームやハンドクリームも全部スーツケースのなかに放り込むことにしたのだ。
ようやく今度こそベッドに横になる。明日は朝の便なので早めにチェックアウトをしなければならない。起きられるのか。地下鉄止まったらどうしよう。というか無事に手続きできるのか。などなどぼんやり浮かぶ不安を押し退けて羊を数える。
かなりリアルな羊をつい先日見たばかりなので思いの外良い感じにイメージができた。
ロンドン、楽しかったよなあ。どこもかしもこ素晴らしかったなあ。みんな良い人だったなあ。ご飯美味しかったなあ。ビールも美味しかったなあ。良い思い出しかない。
だからこのまま良い思い出のまま飛行機に乗って帰りたいな。と思いながら、気付いたらねていた。
ロンドン旅行記7日目
今日は日曜日。イギリスでは日曜日にサンデーローストなるものを食べるのだとガイドブックに書いてあって、これはぜひとも食べたいと思っていた。
なので朝ごはんは軽めに。でも紅茶はおかわりを貰ってたっぷりといただいた。
当初の予定では日曜日の朝にロンドン塔のセント・ピーター・アド・ヴィンキュラ王室礼拝堂で礼拝を受けようと思っていた(日曜日の礼拝の時くらいしか中には入れないという前情報だった)が、先日訪れたときに入ることができたのでやめておいた。
思えば毎日予定を詰め込んでいたせいで結構早起きばたばた生活だったのだ。この日は本当にゆっくり準備して遅めの時間にのろのろ出かけた。
目指すはウィリアム・モリス美術館。Victoria線の終点の駅まで行くので少し遠く。駅からはバスで。
公園の一角に建った小さな建物がそれだった。もともとはウィリアム・モリスが幼少期を過ごした家なんだそう。日曜日ということもあり、そして郊外ということもあり、なんだかのんびりした場所。いやしかしこの日も良い天気だった。
こちらの美術館もやはり無料。中に入るとミュージアムショップとカフェがあり、その先に展示室があった。なんというか本当にふらっと入れる場所。公民館みたいな空気のなかしれっと様々なものものが展示されていた。
ウィリアム・モリスについて知ったのも大学生の頃。当時の私は自分の学問の分野以外の知識を得ることに楽しさを覚えるタイプの人間で、興味や気の向くまま様々な授業を受けた。そのなかでウィリアム・モリスに出会った。
イギリス学入門だか英国美術についてだか忘れてしまったが、教室のプロジェクターに映し出されたそのデザインの美しさには思わず目を奪われた。自然なのに計算されていて緻密なのに大胆な、伝統的なようでいて新しい模様のような絵画のようなそれ。そしてそれらは人々の生活のなかで使われるアイテムを彩ったわけである。たくさん生産され注文を受け商品として納品された。しかもヴィクトリア朝という激動の時代のなかで。
なんだか頭がくらくらしたことを覚えている。
そんな彼の生涯を辿る展示をGoogle翻訳をフル活用しながら辿った。
学生時代中世の文化に憧れてステンドグラスを作ったり壁画を製作したりしたそうで、新しいのに昔っぽい印象なのはそういうところからきてるのかなあなんて思ったりした。
あとはあんまり知らなかったんだけど彼の人生や人間関係も複雑だった。結婚したジェーンさん、刺繍も上手で美しく、もともとメイドで教養がなかったらしいがスポンジのようになんでも吸収し極めちゃった才女でモリスにとっていわゆるミューズ的存在だったらしいが、モリス以外の芸術家とも色々と極めていたらしい。
そ、そうなんだ。ふ、ふーん。
そんなどろどろな話を読みつつなんとも贅沢な展示を眺めたり参加型の展示に取り組んだりした。
ステンドグラスの型に紙をおいて鉛筆でこすってみたり、さまざまな柄や色を紙の上に置いてデザインしてみたり。
結果私にはあまりデザインセンスがない!ということがわかった。薄々勘付いてはいたが。見たことある模様をいい感じに組み合わせると永谷園のお茶漬けのパッケージを床に落としたら犬が噛んでぐしゃぐしゃにしましたみたいな柄ができて笑ってしまった。写真を撮り忘れたんだけど。
そしてこういう途中のものをみるのも興味深く面白かったし
この家具たちもいいなー。ほしいなー。今もなおおしゃれでスタイリッシュ。
床に。かっくいー。
このいす。とてもいいっす!ね!
こんな椅子に一度でいいから座ってみたいけど家にあってもおそれおおくて座れないわ。恐れ多いっす。みたいな。
外観よりも展示物のボリュームがすごかった。一つのデザインをどのように作っていくかみたいな過程まで丁寧に解説してくれていた。
有名ないちごどろぼうさんもみつけた。
お土産屋さんも充実していてモチーフの小物がたくさんあってかわいかった。
ロンドンにはもう一つモリスが建てて住んだ家も美術館としてあるようだが、そこは予定が合わなかったので今回はやめておいた。
帰りは駅まで歩いてみた。ケンジントン周辺とはまた違う、人が住んでいる感じがありありと伝わるような道。
いい感じにお腹が空いてきた。
ので、みつけておいたサンデーローストのお店へと向かう。再び地下鉄へ。駅を出るとお店の場所がわからなくてものすごい迷った。加えてこの日は風が強くて、道路脇に生えている木々から目に見える大きさの花粉が降ってきていた。これ、目に入ると激痛なの。私の反射神経が悪いのかロンドンの花粉が素早いのか。目が真っ赤になった。
なんの花粉なんだろうあれは。海外の人ってよくサングラスしていてなんでだろうと思っていたけど紫外線だけではなく花粉も防ぐためなのでは。
私もサングラスを持っていけばよかったよ。
そんな感じでやっとこさお店につく。ビールとサンデーローストを頼むと、ここでこの旅行最大の伝わらない事件が発生した。アレルギーはないですか?という質問に、ないですと返しただけなんだけど、私のカタカナ発音アレルギーは驚くほど全く伝わらなかった。アレルギーはアレルギーという発音じゃないのだということをはじめて認識したわたくし。アラジーみたいな。そんな感じなのだ。Google翻訳を見せてやっとご理解いただきたが発音を正しく勉強するのって大事だったんだなぁ。言語とは難しいなと改めて感じながらビールを飲み待っていると
きました。なんかすっごいボリューム。
昨日の夜ご飯の肉もなかなかだったがこれは。
お肉だけじゃなくソーセージやじゃがいも、人参など野菜もたくさん。肉汁のソースを全体的にかけていただく。
何よりお肉の上にぼふん!と鎮座しているのは大きなシュークリームの皮のようなやつ(ヨークシャープディングというらしいよ)見た目は大きいがかりかりで軽い。
サンデーローストをいい感じに訳するとしたら、まさしく日曜日のご馳走!熱々で美味しいロースト料理。見た目だけでじゅうぶん心踊るのにチキンはしっとり柔らかくジューシー。お野菜は甘く柔らかく、ソースをかけると更に味わい深くなる。
たぶんこれ家族でわいわい食べるものなんじゃなかろうか。そんなことに気付いたのは日本に帰ってからだった。サンデーロースト。心から美味しくて気付けばひとりで綺麗にぺろっと平らげていた。
とはいえ、お腹はぱんぱん。
ここの所がっつりしたものを食べ過ぎてロンドン1人フードファイターみたいになってる。腹ごなしに次の目的地まで歩いて移動することにした。なんかいい感じの建物を横目に向かったのは
ウィンガーディアムレヴィオーサ!あなたのはレヴィオサー!(なぜいきなり浮遊の魔法のハーマイオニーなのか)
キングスクロス駅!
ここはハリポタの9と3/4番線がある駅ということで一度きてみたかった。
今回の旅は割とチューダー朝にフォーカスしてしまったが私はハリポタも好きなのだ。
頭の中は完全にヘドウィグのテーマ。
大きな駅で乗り降り大変そうだなと思いながらこの駅にあるというハリポタショップを目指すと
なんか謎に行列ができた場所が。
ここだー??
なんでこんな並んでるんだろうと思ったのも束の間。
ここにはハリポタショップがあるだけではなく、9と3/4線体験をしかつその様子を写真におさめてくれるという親切すぎる場所がショップの前にあるのだ。この列はその写真の順番待ちらしい。
9と3/4体験。そんなの。やりたいにきまっているじゃないか!!!と列に加わる。
どうやら自分の好きな寮のマフラーをつけ杖を持ちカートをおす姿の写真をプロに撮って貰えるようだ。ポージングは係の人が細かく指示しておりシャッターをきる瞬間にマフラーを良い感じにはためかせる係の人までいる。ここで撮った写真はショップで買えるらしい。
ただし誰かがその様子をスマホで撮ってくれる分には無料という。なかなか一人旅に厳しいシステムである。そして並んでいる人を改めて見回すとほとんどが団体客。
ということはみんなはウィズリー家で私はハリーということ。ハリーも9と3/4番線への行き方がわからず、声をかけていたじゃないか。
いざ!!
勇気を振り絞り写真撮ってくれないか後ろのウィズリー家のパパにお願いす。そして撮って貰った写真がこちら。
すごい。魔法みたい。特にマフラー。はためかせる係の人がプロ。ポージングもすごく細かくて足の位置とか杖の向きとかまで指定された。
1人でこれはなかなか恥ずかすいーと思ったがやってみると楽しくてノリノリかつ満面の笑みである。
写真を頼んだウィズリー家の人はめちゃくちゃシャッターを押してくれていてパラパラ漫画が作れるレベルだった。さすがウィズリー家のパパ。良い人だ。ゴム製のアヒルの使い方について是非とも教えてあげたい。
キングスクロス駅、サンデーローストを待っているとき近くにあるみたいだから寄ってみようかななんて思い付きで訪れてみたが、やはりハリポタ好きの人にはぜひ訪れて欲しい場所である。ショップではグッズを買いそこでもハリポタの世界を楽しめてよかった。
再び地下鉄で移動。
お次はテート・ブリテンへ。地上へ出ると再び巻き散る謎の花粉に目をやられる。痛すぎるんだわさ。ほんとうに。なんでこんなに入ってくるんだろうね、目に。
目をやられながらなんとかかんとか進むと見えてきました。こちらも立派な美術館。
そして、例の如く無料。
思ったんだけど美術館は日曜日に行くべき。
平日の美術館やお城には小学生が社会科見学で来ていることも多く結構騒がしいことも多かったんだけど、日曜日のテート・ブリテンは穏やかな静けさに包まれていてよかった。
ロビーに置かれたソファでおじいさんがお昼寝をしていた。朝起きて礼拝にいってパブでビールを飲んで一休みするかと美術館にやってきたのかな。気持ちよさそうだった。
展示室も本当に誰もいなくて静かで、見たい絵や心惹かれた絵が多かったこともあり、かれこれ3,4時間くらいいたんじゃないだろうか。
絵の飾られている展示室にはなんの説明もなくなんの意味があるのかわからないオブジェが置かれていてそれも気になってまじまじと見てしまったわ。
まずは向かったのは有名なオフィーリア。
鮮やかな絵だった。なのにこわい。
自然は生き生きとそこにあるのに彼女の視線はもうこの世をみていない。纏うドレスは次第に重くなり身体は水底へと導かれていく。静かに死に向かって浮かび流れていく。
この絵はたしかに美しいのにひどく恐ろしい。人は悲しみのなかで狂ってしまうと死に抗うことすら忘れてしまうのだろうか。
見られてよかった。
私は同じミレーの絵ならこっちの腰の痛そうなお姉さんの方が好きだけどね。
長時間座ってると腰痛いよねー。マリアナ。
こちらもシェイクスピアの作品から着想を得ているそうだがまだ読んだことのないものだった。今度探してみよう。
この絵も幻想的でぜひ見たいと思っていた。絵の中の灯りに心踊ったのは吉原格子先之図以来である。
夕方の薄闇のなか美しい草花のなかで提灯に灯りを灯している子ども達を描いた安らかな絵。
ふんわりしたお洋服の可愛らしいこと。
平和で綺麗な絵っていくらでも見られる。
そしてこちらもある意味平和。
夕方の薄闇のなか新しい墓の準備をしているシスター達を描いた絵。この絵には妙に惹かれてしまってしばらくみていた。人は必ず死ぬ。死は痛みと悲しみをもたらす。のに同時に救済と永遠の平穏をもたらす。日が沈み仕事を終えたシスター達は眠る前に祈るんだろうな。蝋燭を灯して。
私は地位や名誉や財産を追っている人を見ると、どうせ死ぬのになにしてんだろと思いがちなんだけどそこに近いような遠いような感覚をこの絵から感じた。
そんな皮肉なことをいわないで一生懸命人生を全力で生きたいもんである。
解説にはミレーはメンデルスゾーンの作品から着想を得てこの絵を描いたとあって、音楽と絵画の繋がりや広がりを見かけると嬉しくなってしまうね。
あとはこの別に多分作者はなんということもない感じで描いたんだけど妙に印象的でこわい絵や
これでもか、これでもかというターナー。
ターナーは本当に特別に展示が数部屋に渡ってされていてすごかった。ターナー好きにはたまらないんだろうな。雲や霧をここに持ってきました!みたいな絵。
こちらはマクベス夫人を演じた女優さんを描いたものらしい。みんなシェイクスピア好きね。
なぞのオブジェもそこかしこにありなんなのかはわからないが
異様な存在感を放っていた。
なんなんだろう。
そう考えさせることこそが
目的なんだろうな。
すごい怖かったのは2つトランク(ファンタスティックビーストに出てきそうな)が並んでいて、その間をふとみると、それぞれのトランクから黒色の長い髪の毛が出ていて絡まっていたやつ。
写真を撮ると呪われそうだったのでもはや撮らなかったけどぞっとした。なんだったんだあれは。
などなど。たくさんの絵をみて感じて解説を読んで。美術館で過ごす時間は濃い。
帰りに不思議なオブジェをみつけた。
かっこいいな。
これにもきっとなにか目的があるんだろうな。
ホテルの最寄りのスーパーに行くと、日曜日なので営業時間が早めに終わっていた。お昼に食べたローストがまだ残っていたのでいいか、と思ったけど夜にはお腹が空いてしまって非常食に持ってきたカップラーメンを食べた。
これがものすごく美味しかったー!!
醤油の濃いスープの味が胃に沁みたね!!
その日、寝る前に私のロンドン旅行もそろそろ終わるなと思いながらごろごろしていたら、祖父の容態が思わしくないというLINEが入ってきた。
しかし待てども続報は入ってこず。気付いたら眠ってしまっていた。
ロンドン旅行記6日目
私の泊まっていたホテルのまわりには沢山美術館やら博物館やらがあってどれも徒歩15分から30分で行かれる距離だった。今日はそれらを重点的に回る日。わりと近所を巡る日ということもあり気持ちに余裕があったので、なんかちょっと良いところで美味しい物を食べたいという欲求を満たすため夜ご飯にレストランを予約してみた。1人でちょっと良いレストランになんて、日本でも行かないのに。いま思えばものすごい冒険。
この日の朝ももりもりむしゃむしゃとブリティッシュブレックファストをいただいた。
今日も沢山歩くぞという気合いの感じられる盛りである。パンもおかわりしちゃった。
本当によく歩いた日だったが、綺麗な街並みをめいっぱい歩いてみたいと思っていたから満足。
まず最初にレイトン・ハウス博物館へ向かった。ヴィクトリア朝に活躍した画家、フレデリック・レイトンの邸宅とその作品を公開している場所だという。フレデリック・レイトンのことは正直存じ上げなかったのだが、どこか行く前に小学生の社会科学習並みに調べる習性が役に立って、英語表記オンリーの展示も楽しく鑑賞することができた。
レイトンの生涯は賞嘆と名誉と栄光に溢れたものだったらしい。本当にこんな完璧な人いる?っていうくらいの画家だ。画家ときくと明日食べていくお金もなく、かたくなったパンでキャンパスの下絵を消しながらそれを食べているという偏った印象を持っていたのだが、彼は裕福な家に生まれ、若い頃は売れっ子で歳をとってからもロイヤル・アカデミーの会長を務めている。おまけに容姿端麗でたいそうモテたそう。
そんなパーフェクトヒューマンの邸宅は、センスと斬新さ、遊び心ともてなしに溢れた場所で、彼はここに多くの客人を招いたのだろうが、私のような異国からの来訪者ですら、今もなお歓迎されているように感じた。そのくらい素敵な場所だった。
玄関から入ってすぐの場所から広々としていて美しい絨毯が敷かれているのだが
その先を行くとこんな感じである。舞台装置のような色合い。
ヴィクトリア朝だもんな。様々な国の文化が入り混じっている。雉は近年置かれたものらしいんだけど、なんとも。ここに雉を置いた人に拍手を送りたい。こんなにも雉が似合う空間を今まで私は見たことがない。
そしてここには一つ一つの展示や絵画、床に至るまで解説が纏められた冊子が置かれていて、それを見ながらゆっくり回れたのもよかったしセンスを感じた。絵の横に白いパネルが貼られて解説が書かれていると、一気に展示物、ここは美術館博物館って感じになるが、それがない。のがよかった。
当時この邸宅に招かれた客人の追体験ができる。
そしてこの場所を見学中ずっとちょろちょろ水の音がして気になっていたが、次の次の間に噴水があったからだった。
室内に??噴水??
今でこそ戸惑うが当時の客人たちも驚いたことだろうなと思う。そしてこの場所もまた豪奢で展示はドームになっているし
壁のタイルが美しい。オリエンタルなアラビアンな感じ。その名もアラブホール。
タイルの色合いが美しく見惚れているとお姉さんがやってきて何やら説明をしてくれた。お姉さんは趣味と実益を兼ねて楽しくここで働いています!みたいな人で喋り出すと止まらない。こういう時、もっと英語が聞き取れたり話せたりできたらなと思う。レイトンは多くの国を旅して、旅先から様々な文化を持ち帰り融合した、みたいなことや、このタイルの絵は修復されたものだけど当時の色合いを忠実に再現している、みたいなことを教えてもらった。お姉さんの丁寧さや熱心さが嬉しかったので、私も何か言わなきゃと思い、親切にありがとう。ここはとても素敵な場所で感激してます、と伝えてみた。もっと英語ができたらよかった。
それから朝日の入る書斎を眺めたり
見事なシャンデリアの待合室でヴィクトリア朝の優雅な人々に思いを馳せたり(ここで紅茶を飲んだり手紙を書いたり刺繍をしたり本を読んだりしたのかしらん)
ダイニングルームに展示されたお皿をしげしげと眺めたりした。
邸宅の広さに比べてテーブルは小さい。レイトンは煌びやかな生涯に反して女性関係の醜聞もなく、誰とも家庭を持たずにここに執事と住んでいたらしい。部屋にはナルシスをモチーフとした絵や置物が多かった。
さっそく私の腐った脳みそが邪推をはじめてしまう。勝手に湧き上がる妄想を膨らませながら二階へ。
二階には大きなホールがあり前方にはピアノ。レイトンは客人を招いてここで演奏会やダンスパーティなどを催したりしたのだろうな。
舞台の方から眺めると2階席まであり
演者の楽屋のようなスペースが用意されていたり、そしてそこがまたオリエンタルと洋館の美しさが共存していて、どうしたってこんなのときめいてしまう。
この空間もそうだし飾られている作品も貴重なものが多いようだ。
美術館のように飾られていないのが絵画の本当の姿なのかもな。壁にかけられた絵たちはそれぞれ空間に溶け込みここをより特別な場所にしていた。
2階の最後は光が全面から入る明るいアトリエ。
庭も素敵でテラスでお茶をしている人が多かった。近所の人達の憩いの場っぽい。こんな素敵な場所が家の近くにあったら良いよね。
そんなレイトンハウスで私がとても感動したのはこちら。
おわかりいただけただろうか。
部屋には多くの椅子が置かれていたのだが、それらには全て、松ぼっくりが置かれていたのだ!
座らないで、と書かずにただひとつの松ぼっくりを置くところがとてもユニークだし洒落ている。
レイトン・ハウスは思いの外素晴らしい場所で大満足だった。ロンドンでおすすめの場所はときかれたら私は迷わずここの名前をいうだろう。
とっても素敵だった。
続いてチケットでセットになっていたサンボーンハウスに向かう。家が近くレイトンとも親交があったサンボーンはコミック風の風刺画を描いた。
レイトンが上流階級だとするとサンボーンは中流階級なんだそうで当時の中流階級の人々の生活が伺える場所なんだそうだ。
この建物の一角にサンボーンハウスはあった。いやいやもう全部同じに見えるからー。
そして見逃してしまうほどの小さな案内に、入口が地下。
ここか……?
ドキドキしながら入ると受付のお兄ちゃんにここは通路が狭いからリュックをあっちに置いてから入ってといわれる。あっち、とは。
地下に下る階段近くの自転車置き場!のチェーンにリュックを括っとけということらしい!
ほー!ここに?!ほー?!
貴重品以外はリュックに残していざ中へ。
どんな場所やねん?!
すると、そこには映画のセットみたいな空間が広がっていた。
レイトンハウスは斬新で見たことのない空間だったが、対するサンボーンハウスはザ・私の頭の中のヴィクトリア朝の部屋って感じだった。
こちらも同じく展示品については部屋に置かれたシートにまとめられている。
だからこそ今まさに家主がこの部屋を立ち去ったかのような、まさに人の住んでいる場所という印象を受けた。ひょっこり誰かがあらわれそうな。
収集品はごちゃごちゃしてるんだけどなんともいえないセンスを感じさせながら並んでいていい。
ここでスコッチとかブランデーとか揺らしながら葉巻を燻らせて色々な話をしてたんだろうな。
果てしなく妄想の捗る場所である。
サルボーンの風刺画は廊下や玄関に飾らせていてそれもまた面白かった。
ここは玄関。
可愛いステッキ。これを片手に散歩に向かったりしたんだろうか。
階段は確かに狭くてこれはリュックを置いていって正解だった。
階段や廊下に飾らせていたのはサルボーンの風刺画。細かいタッチでコミカル。ついつい見入ってしまう。
犬も可愛い。
色の付け方もおしゃれだ。
そういえばレイトンハウスには寝室がなかったな。
サンボーンハウスにはメイドのお部屋もあった。
やはり1番上の屋根裏部屋で質素だ。エマやん。
兎にも角にもこちらも見応えばっちりの場所だった。ヴィクトリア朝にタイムスリップしたかのような完成度の高い空間。ヴィクトリア朝時代を舞台にした漫画を描いている人がいたらぜひ行ってほしいと思った。良い素材になりそう。
サンボーンハウスを出たら再び歩く。綺麗な街並みなので歩いているだけで楽しい。
電話ボックス本当にこんな感じなんだな。
ずんずん20分ほど歩きパディントンに出ていた自然史博物館へ。
こりゃまた立派な建物ですわ。
一見お城か教会のような外見だがよくよく見ると動物モチーフの装飾品があって可愛い。土曜日ということもあって子どもが多かった。
驚くべきことにここも無料。いったいどうなってるんだろう。すごすぎる。
列に並びいそいそと中へ入るとセキュリティチェックの誘導のお姉さんがキレキレの動きで踊ってた。いいのかそれで、と思いながらエントランスに立つと大きな骨格標本がお出迎えしてくれた。
すごい迫力だー!広々とした空間の海を泳いでいる骨格標本のくじら!大きな口の迫力たるや!
こちら前からも横からも下からも後ろからも見られるという素晴らしい展示のされ方。私が標本オタクだったらエントランスだけで半日くらいは楽しめそうなくらい他にも様々な展示があった。マンモスとかきりんとか。
それと正面の階段の踊り場にはダーウィンさんがいた。せっかくなのでツーショットを試みる。
ここにはダーウィンさんの種の起源の初版もあるのだ。種の起源といえば宗教でできていた人々のものの考え方を科学的な方向へ変えるきっかけとなった本だ。と私は思っている。
神が人を創造したと教えられていたのに猿が進化したのだと言われ自分達が信じていたものを根底から覆された時代。それに抗おうとして神秘的なものを肯定しようという考えが強まり、幽霊や降霊術や妖精などが流行り、今まで信じられ伝えられてきた逸話や神話や伝説をモチーフとした芸術が栄えた。ちなみに音楽でもロマン派的な動きが活発になったのはここらへんで、やはり根本的なきっかけは種の起源だったんじゃないだろうか。
ここもすごく広くてコインで地図を買って恐竜エリアに向かうことにした。恐竜エリアにはたくさんのファミリー達!
まあそうよね。動くティラノサウルスがあり泣いてる子もいた。わかるよ。恐竜吠えるしちょっとこわいのだった。
ここで私は運命の出会いを果たす。
なんとステゴサウルスがいたのである!!!
わああああ
わあ、あああああ。頭上にステゴサウルス!
なにが好きってあの独特な骨板といい、草食でありながらも戦うための武器となる尻尾を持っていたところ、太い足、体に反してくるみほどしかないという脳みそ。全部好き。
日本の恐竜博でもなかなかお目にかかれないステゴサウルスとまさかこんなところで会えるとは。そしてこんなアングルから眺められるとは。なんということでしょう。
恐竜エリアには他にも骨や角や卵が触れたりする展示もあって楽しかった。
そこからパディントンもされそうになっていた剥製のエリアなどにも足を運んでみた。
カピバラもいた。
たくさん歩きお腹が空いてきたので自然史博物館の隣へと移動する。V &A博物館である。
どーん。これまたすごい迫力。ここも広そう。
友だちからここのカフェに大きなスコーンがあるという情報を入手していたのでここでお茶をしようと決めていた。
あったかくて大きなスコーンもそうだがそれよりここの部屋、素敵じゃない?!という。イートインみたいなノリだけどなんとも美しい部屋である。
ひえー。いいんすかここでお茶して。ふえー。ウィリアム・モリスやん。そんなディズニーのイートインみたいなノリで過ごしていいのなどと、イギリスの太っ腹具合に再びびびりながらスコーンを手に取る。
がどうやって食べるものなんだろう。これは。素早く検索してそれっぽく割ってジャムとクリームをつけて頬張る。
うんま。さくさく。
ジャムと絶妙に軽く塩気のあるバターのようなクリーム(クロテッドクリーム)が美味しい。熱々の香り高いアールグレイとこれまたあう。贅沢な時間だー。
お茶をしてすっかり元気になったのでこのV &Aという場所も見学しようと思うも、地図がないと迷子になりそう。
自然史博物館は基本的にエリアが4つにわかれていたから回りやすかったんだけど、ここはなにやら展示物の種類も扱っているものも多岐に渡りそう。
エントランス付近になんとか戻り地図を探すと、クレジットカードで買うタイプのようだ。しかもタッチのやつ。その前には係りのマダムが立っている。
私のクレカ、おそろしくタッチがうまくいかないのだ。試しに何度かやってみたが全然だめ。私はただ地図が欲しいだけなのに。なぜ。
すると見兼ねた係りのマダムがにこにこ地図を渡してきた。え、いいんですか?!って感じ。そしたら、あなたは何度もチャレンジしたからいいのよ、とのこと。
しかも地図を開いてファッションエリアは1番の見所だから行った方が良いと場所を教えてくれた。良い人だー。
さっそく教えてもらったファッションエリアに向かう。ここにはイギリスの17世紀から現代にいたるまでの衣装が飾られていた。プライドと偏見とかに出てきそうなドレスからアガサ・クリスティの小説に出てきそうなイブニングドレス、ダウントン・アビーでみたことあるようなドレス。
なにが素晴らしいって鏡で後ろの方も見られるようになっているところ。
ふんわりパニエで広がるドレスの優美さ。
レディがショッキングなことにあったとき酸欠になり気絶するのを大いに助けたであろうコルセット。
小さなレディが持っていたであろうお人形(こわい)などなど。
あまりファッションに興味のない私ですら女子心をくすぐられるアイテムがいっぱいだった。
とりあえずチューダー朝の展示室から巡ることにしたんだけど道すがら大昔のあれやこれやに出会う。歩いてるだけで楽しー!!
教会のオルガンの、パイプがないやつとか
どこかの教会にあった彫刻。
とても古いドアがたくさん。こういうの見ると胸高鳴るタイプの人間も多いのではないだろうか。
ドイツのものだったりフランスのものだったり。
個人的にとても面白かったのはこちら。
これは何に使われていたでしょうか?みたいなクイズ形式の展示がされていたんだけど、なんだと思う??私は呪術の道具とかかなと思ってたんだけど、、、
タオルかけだそう。
いやいやいやいや無理があるって。こんな不気味なタオルかけないって。こんなタオルで手を拭いたら呪われちゃうって。変だよー!はー面白い!
あとは美しい装飾の施されたチェンバロもあった。イタリアの貴族の館にあったものらしい。
それにしても広い。宮殿のような建物。願わくば1週間くらいかけてじっくり回りたい。どれもこれも興味を惹かれるものばかりで寄り道をたくさんさんしたので、なかなか目当てのお部屋に辿り着かない。
やっとこさたどり着いたチューダー朝の部屋。チューダー朝だって一目でわかる。
ヘンリー8世。今日は行く先々でヴィクトリア朝に浸っていたのでなんだか久しぶりな気すらした。彼が贈ったとされる所縁の品々やタペストリーなどなど。
あとはエリザベス1世が臣下に贈ったペンダントなんかも飾ってあった。部屋を進むごとに時代が進んで時空を駆けてるみたいで面白かったな。
その他気に入ったものものは以下。
のーばでーとさむばでー。なんなのかはわからず。
ホーンテッドマンションにありそうな雰囲気のある燭台。
こういう細かな刺繍が縁取られた贅沢なお召し物を見ると写真を撮らずにはいられないし妄想が捗る。
たくましきわんこ。
色んなところでみかけるヘンデルさん。
などなど。上げればキリがない。たくさん心惹かれるものがあり写真を撮った。夢中になりすぎて途中でiPhoneの電池がなくなってしまったくらい。こういう時に限ってモバイルバッテリーがないのよな。そこからは目に焼き付けたりメモをしたりして眺めた。くやしー。
V &Aは展示物も面白いけど参加型のものもたくさんあって楽しかった。
こんな感じで好きな形を組み合わせて紋章や飾りや本の表紙なんかがデザインできる機械が色んなところにあったり
クリスタルパレスを組み立てようという無理ゲーなパズルがあったり
パニエを体験できる場所があったり。
子どもから大人まで楽しめる知的好奇心をくすぐられっぱなしの空間だった。
ウィリアム・モリスのデザインもあってやっぱり好きだなぁと思いながら眺めた。色合いといい植物の力強さと繊細さが共存しているところといい良い感じだ。
閉館時間まで過ごしたけどすごく良い博物館だった。この建物自体がヴィクトリア朝のもので雰囲気があるのに、踊り場に徐に10世紀の石像だとか
彫刻が置かれているんだものな。
美しい。
もっと時間がほしかった。1ヶ月くらい毎日ここに通ってもまた更に新たな魅力が湧いてくるであろう、そんな場所だった。
閉館時間になりiPhoneが使えないのでまた地球の歩き方についてきた付録の地図を開くと、真っ直ぐずーっと歩いたらホテルに着くような感じだったので30分くらい歩いたら知っている通りについた。
この時点で結構疲れていたんだけど、今日はそう。レストランを予約してるんでした。
ホテルで着替えて再び外へ。また20分ほど歩いた。有名なパブの近くにある。
静かで落ち着いた近所の高級住宅街の住民がディナーに使うようなお店。
入るのドキドキだったけど予約してますって英語で伝えるだけでパーフェクト!と褒めてくれるような人達で、水いる?ってきかれたのにいや、ジン・トニックください!って返しても笑わず、水も飲みなねって後から添えてくれた。
こちらがイギリスのジン・トニック!
深みがありつつもすっきりとした味わい。パンがとても美味しかった。
最初に白アスパラガスの美味しいやつをいただいた。白アスパラガスはちょうど旬のものだったようだ。アスパラガスは太くて甘くてジューシー。上には変わったチーズと香草が乗っていて一緒に食べるとべりべりでりしゃすだった。
それからワインを頼んでみた。おすすめあるかしら、なんて日本でも言わないくせにきいてみたりしていたら、こちらがやってきた。
どどーん。
分厚い骨付きの牛の焼いたやつ。まさかこんなボリュームでくるとは。フードファイトしにきたの?ってくらいの量だったが、食べました。食べましたとも。お肉は柔らかくローストしてありとてもおいしかった。
なんとなく写真も撮って貰った。
デザートは?ってきかれたけどそんなものは入るわけがなく、ミントティーでリフレッシュを試みる。この辺りでお店の人がここは英会話教室ですか、という感じの質問責めをしてきてあたふたしながら返した。
どこからきたの?なにしてるの?どのくらい滞在するの?今日何日め?ロンドンははじめて?何しにきたの?ロンドンでよかったところはどこ?それはなぜ?今日はどこに行ったの?などなど。こちらの拙い英語を一生懸命にきいて理解しようとしてくれるのでありがたい。
とても美味しかったし素敵な時間を過ごさせて貰った。チップも会計に含まれているタイプで助かった。ほろ酔い気分で歩く20時。ロンドンはまだまだ明るくて得をした気持ち。
ぐるぐる遠回りをしながらホテルに帰った。
ホテルに戻りシャワーを浴びて一息。なんかヴィクトリア朝三昧の1日だったなと思いながら自然史博物館で自分に買ったお土産のステゴサウルスに名前をつけようと考えながら寝落ちした。にまんごせんぽくらい歩いた。
ロンドン旅行記5日目
朝からたっぷりと朝食をとり気合いを入れる。
今日から再びロンドン市内観光だ。
ちょっとした遠出が続いていたので地下鉄とバスで行かれる安心感はあれども、地下鉄や観光地にはスリが多いともきくので、そういう意味ではドキドキドキドキ。財布とスマホとパスポートは絶対にとられてはならぬ。気合いをいれていく。
まず向かったのは朝8時から開いている聖ポール大聖堂。きっかり朝8時に到着す。
丸い大きなドーム型の建物。やっぱり見えてくるとテンションがあがりますな。
聖ポール大聖堂はチューダー王朝弁護士シャードレイクという小説によく出てきたりしてシャードレイクもここを通ったのだろうかとわくわくしながら横道を歩く。(もともとの聖ポール大聖堂は火災で焼けてしまったらしい、という事を後にオーディオガイドで知ることになる)
朝早いこともあってか入口がどこなのかわからないくらい人がいない。
多分、ここ?みたいな感じでおそるおそる入ると受付の人がいた。
ここでもガイドが借りられて、当たり前のように存在する日本語オーディオガイドのありがたさを噛み締める。
一歩踏み出せば中はどこをみても見事な装飾。気が遠くなりそうな細やかさ。そしてなんといってもドーム。
あの外からも圧倒的な存在感を放っていたドームは内側から見上げた時は鳥肌が立つくらいの美しさだった。豊かな絵画と精密な模様、自然光の作る陰影が丸いドームを彩っている。
ものすごくカトリックの教会っぽい。
しばらく椅子に腰掛けてオーディオガイドに入っていた説話などをきいたりして過ごした。
そんななか小学生の集団がぞろぞろと歩いてきて地下へ続く階段を降りていく。なんだろうと思ってついていくと地下の礼拝堂の一室に入っていった。一緒に入ろうとしたら引率の先生らしき人に、9時半まで貸切だからと言われてしまう。
しばらくして美しい歌声が聴こえてきた。
本当に素晴らしいハーモニーで聴き入ってしまったくらい。
地下はやはり墓だらけで(いや地上も墓だらけではあったが私はもう墓慣れをしていたのであまり意識していなかった)その静かな空間に響く音楽。
なんとなくだけどここで眠る人々は安らかだろうなと思った。少なくともウェストミンスター寺院で眠るよりは。
再び地上へあがるも何やら列が出来ていて、そういえばこの聖堂は上へ上がれるんだなということを思い出す。せっかくだしと列に並んで登ってみることにした。
昔パリでノートルダム大聖堂の上に登った時を思い出す。狭くて長い螺旋の階段。その先にはこの展望。
本当にお天気に恵まれていたよな。
高いところからロンドンを見る機会を今回あまり設けなかったので登れてよかった。達成感。
数多の墓を踏み聖ポール大聖堂を出たところで観光客のカップルに写真を頼まれたのでおふこーすといって撮ってあげた。ついでに私も撮って貰う。慣れたもんよ?
聖ポール大聖堂の目の前のバス停からバスに乗りナショナルギャラリーへ向かう。バスにちょっと慣れてきたので2階の1番前に乗ってみた。おお、高い。
アトラクションみたいで面白かった。でも道がなかなか混んでいる。
進まぬー。
えっちらおっちらなんとかかんとかナショナル・ギャラリーへ。
ロンドンの美術館や博物館のすごいところは無料だというところ。太っ腹にもほどがあるよ。
どどーんとした入口に数多の観光客と共に並ぶ。
すぐに中へと通された。
入口にあったQRコードをかざすと部屋のナンバー毎に各作品の解説が読めるページへと飛んだ。
なんてスムーズでスマートなんだろう!と感激しながらぐるぐると部屋を回る。
有名な絵がたくさん。好きな画家の絵もたくさん。
本当に無料でいいのだろうか。これなんか有名なひまわりだよね、と思いながら思う存分歩き回って絵を鑑賞した。
この美術館の素敵なところは自然光で絵が展示されているところ。太陽が雲に隠れると絵の印象がかわる。部屋全体が薄暗くなるからだ。
私には見たかった絵があってその絵の前に立ったときちょうど部屋が薄暗くなったので、なんだからぞくりとした。
レディ・ジェーン・グレイの処刑、と題されたこの絵画は1833年に描かれている。
なので実際にこの処刑が行われた時代のものではないのだけれど、とても恐ろしい絵だった。
レディ・ジェーン・グレイは9日の女王とも呼ばれた悲劇の女王で、ヘンリー8世が死にその息子のエドワードが死んだ後に一瞬即位してすぐに反逆罪で処刑された人だ。ヘンリー8世の最初の王妃であるキャサリン・オブ・アラゴンの娘、メアリー1世がこの処刑を決めたという。
ジェーンはまだ16歳だったらしい。突然女王になったのにいきなり捕らえられそのまま。その様子を後世の人が想像して描いたのだろうが、なんだかリアルだなと思う。
怖いのは下に敷かれた藁だ。これは首を切った後に溢れるであろう血を吸わせるためのもの。これはなんだろう、と思わせる配置と、その役割を知った時の怖さが巧妙だ。
斬首は当時身分の高い人の処刑方法だった。アン・ブーリンもトマス・クロムウェルもキャサリン・ハワードもこの方法だ。
絵の中のジェーンには抵抗する力すら残っていないようにみえる。彼女と共に夫や家族も捕えられた。そして彼女が幽閉された部屋からよく見える場所で、彼らは処刑されたという。死を待つ部屋の中の方がよっぽど恐ろしかったろう。そんな時間を過ごした人にとって、処刑はもはや救いだったのかもしれない。
この絵は想像よりもとても大きくて誰しもが足を止めて見入っていた。いや、見入らざるをえない。そんな絵だった。
ゆっくりと3時間くらいギャラリーで過ごしてから移動。本当はバスで行こうと思っていたが、道が混んでいたのか全然来ないので地下鉄でロンドン塔へ向かう。
ここもずっと来たかった場所だ。
アン・ブーリンが処刑され、埋葬された場所。
まさに先程みた絵画の舞台だ。
駅を出るとこの威圧感。物々しい。
そもそもここは征服王ウィリアムがたてた要塞だったそうな。ここは我々が支配した!という強いメッセージ。力を誇示する建物である。
それが宮殿になったり動物園になったりしたわけだが、だけれどやはりここは処刑場としての印象が根深い。その他にも殺された2人の王子の骨が出てきたりと、やはりなにかと物騒な場所である。
オーディオガイドを借りて中を巡ることにした。
まず最初に目にしたのは、この反逆者の門である。
ロンドン塔に連行された人々はここから中に入ったという。この階段をまさにアン・ブーリンも登ったのだろう。
ケイト・ブランシェットがエリザベス女王を演じた映画の冒頭でも、ここからロンドン塔に入っていたと思う。恐ろしいシーンだったのでよく覚えている。
なんだかいきなり処刑された場所とかに行くのは躊躇われたため、征服王の時代の展示に向かった。素晴らしく静かで厳かな礼拝堂があった。
ここは来なければ訪れなかったろうな。やはり実際に訪れてみないと知れないことがある。
さて。こちらがホワイトタワー。
ロンドン塔のはじまりの場所。
ホワイトタワーという名前は小説や映画など色んなところできいていたけど実際に見るとやはり圧倒される。そしてホワイト。約1000年前からここに建って色々な物を見てきたことだろう。王子達の骨まで発見されているし。
いなくなっちゃいけないカラスを横目に中へ。中は甲冑やら武器やらがたくさん展示されていた。
ヘンリー8世のものも多かった。
こちらヘンリー8世の甲冑①。
1人目の王妃といい感じだった時代のものだと一目でわかるHとKのエンブレム。ハンプトンコートて、HとAの同じようなものをみただけあって複雑な気持ちになる。
そしてこちらもヘンリー8世の甲冑②。
見てくださいこのヘンリーのヘンリーを。
ご立派ですこと。
ご立派な割にあまり役に立たなかったのだなあとしみじみ眺めました。不敬ですかね。でも私はヘンリー8世が好きじゃない。仕方がないのだ。
他にも様々な武器やら鎧やらがあった。剣や斧や盾や。武器酔いしそうなくらいに。なんでここにあるのー?という鎧兜に笑いが込み上げてきた。
武器も興味深かったけど私的には小さな窓から入ってくる光や
細い通路の方にくらくらした。
かっこいい。すごい。この興奮を綴るための語彙力がほしい。荒々しいこの壁面の感じをみて。お触りも自由なのよ。思う存分触ってきた。
そして展示の最後の方にあったのは
こちら。
見覚えのある。先程の絵画にも描かれていたわね。実際に使われたものらしくうわーおって感じ。
純粋にただただ恐ろしかった。
これで首を斬られて死ぬなんて(アン・ブーリンのときは切れ味が良い剣で実行されたらしいが)
出口に向かいながら心を整える。ホワイトタワーを出たら、アン・ブーリンの最期の場所に行こうと決めていた。
そこは日向で知らなかったら通り過ぎてしまうような場所だった。タワーグリーン。かつて処刑台が組まれた場所にオブジェが置かれている。
ここで処刑された人々の名前が刻まれていた。
その中にはもちろんアン・ブーリンの名前もある。その昔、処刑というのは格好の娯楽だったらしい。人々はこぞって人が殺されるのを見に行ったそうだ(日本もそういう傾向があったけどね)
ただここで処刑された人々は身分が高く見せ物という感じではなかった。見せしめだった。
史実でも小説でも映画でもドラマでも、アン・ブーリンの最期は潔く描かれている。事実そうだったんじゃないかと思う。彼女は賢い女性だった。残していく娘のことやブーリン一族のことを最期まで意識して行動したのだろう。
ロンドン塔には小さな教会があって、そこにアン・ブーリンは埋葬されたと伝えられている。このオブジェのちょうど目の前にあるセント・ピーター・アド・ヴィンキュラ王室礼拝堂という場所で、ここは普段閉まっているとのことだ。外側からだけでも見られたらなと思っていたが、なぜかその日は扉が開いていた!!!!
え??なんで??!え?!いいの???
ということで奇跡的に中に入ることができた。
アン・ブーリンはじめキャサリン・ハワード、レディ・ジェーン・グレイが埋葬された場所だ。どこに埋葬されたかはわからないらしい。どこかの通路の下らしい。
ただとにかく彼女たちはここで眠っている。
なぜかはわからないが、普段開いていない場所に足を踏み入れることができてよかった。静かに安らかな眠りを祈った。アン・ブーリンの生まれたお城に行って最期の場所にも来られた。もう悔いはない。
その後ビーチャムタワーへ。ここでは実際に囚人達が囚われていたという塔の部屋に入った。壁にたくさんの彫り物。囚人達が彫ったものがそのまま残っているらしい。
ここで過ごした囚人のほとんどが処刑されていて、レディ・ジェーン・グレイの家の紋章もあった。この小さな窓からしか光が入らない空間で。いったいどんな気持ちだったんだろう。処刑はおそろしいがそこに至るまでもおそろしい。
外に出てこの暑い中ご苦労様な衛兵さんを横目に
ブラッディータワーへ。
こちらは身分の高い人が幽閉されたお部屋。エリザベス女王の寵愛を受けたエセックス伯ロバート卿が長い間幽閉されたといわれている。海を渡り自由に旅した人をひとところに閉じ込める。彼にとってはとてもストレスだったろうな。プロジェクションマッピングの演出があり逆に怖かった。ロバート卿は幽閉された後やっぱりここで処刑されている。
後は有名すぎる2人の王子について。こちらも変な演出であらわされていてとても怖かった。突然少年たちの囁き声が部屋中に聞こえるんですもん。ひい。やめてほしい。
何時間くらいいたのだろう。広い上に見たい物が多かったのと見応えのある展示物ばかりだったのとで大満足である。
ここも多くの幽霊が目撃されるという場所だが、やはり会わなかった。良い天気だったしな。
せっかくきたのでイケオジにツーショットをお願いしセルフィーで撮ろうとしてたら、近くにいたマダムが私とるわよ!と撮ってくれた写真がこちら。
ありがとうマダム。ありがとうサー。私は満足です。
外に出るといかにもロンドンにきました!という写真が撮れそうなスポットがあり、スペインからきたという大家族に写真を頼まれたので、私も撮ってもらった。良い天気。
君ひとりぼっちなの?!みたいな反応を受けつつ大家族の皆さんに見られながらピースができる私のメンタル。つよつよ。良い人達でたくさん写真を撮ってくれた。
外から見た反逆者の門。アン・ブーリンを巡る旅はここでひと段落した。
本当はウィンザー城にも行きたかったんだけど、それは次回にしようと思う。
はあ、行かれて本当によかったなあ。
それにしても!!!!喉が!!乾いた!!どん!!
ということでパブへ。
ビールの注文だけうまくなっていくわたくし。
このギネスが冷え冷えでとてもおいしかった。五臓六腑にしみ渡るとはまさにこのこと!黒ビールうまいぜい。
この日もいささかスケジュールを詰めすぎたのでお昼を食べられなかったんだけど、朝ごはんをもりもりに食べるせいかそこまでお腹は空かず。
ホテルの近くのパブでもビールを頼みまったりと過ごした。パブでまったり過ごせるようになるなんて慣れってすごいよな。
その後、散歩をしてご飯を買って食べてシャワーをあびてすぐに寝た。たくさん動いたからな。
ロンドン旅行記4日目
あなたの行きたい国はどこですかときかれて、いつもイギリスと答えていた。その理由は行きたいお城があったからである。
イギリス、ロンドンに来て4日目。
ついにそのお城に向かう日がやってきた。
Hever Castle 、ヘンリー8世の2番目の王妃、アン・ブーリンが生まれ育ったお城である。
大学1年の時、ブーリン家の姉妹という本をたまたま手にとって夢中になって読んだ。
絶対的な支配者である王が、人々の宗教や思想を決めてしまう乱暴な時代、女は美しく着飾り、男の跡取りを産むための使い勝手の良い道具でいろという時代に自分の頭で考え行動し発言し突き進んだ女性、アン・ブーリンと、彼女の妹であり激動の宮廷の真ん中にいながら柔軟に敏感に考え方を変えて生き延びたメアリー・ブーリンの物語だ。
そして同時期にたまたま勉強していたのが、ドニゼッティのオペラ、アンナ・ボレーナの「私のうまれたあのお城」というアリア。
アンナ・ボレーナは、まさにアン・ブーリンをモデルにしたオペラで、偶然重なったその出会いに心が熱くなったのを今でも覚えている。
オペラのなかでは処刑される前に半分気の触れた状態で歌う美しいアリアで繊細で緩急溢れるレチタティーヴォも、切ない旋律が印象的なアリアも完璧に歌い上げたのが、ちょうど来日していたグルヴェローヴァというソプラノ歌手。
私はそれを聴いてこのアリアを勉強したいと思った。そしてその、私のうまれたあのお城、こそがヒーバー城というわけだ。
ずっと行きたかった場所へ行くということもあり朝から妙に緊張していた。朝ごはんをもりもりと食べてから準備をしてVictoria駅へ。
大きな駅でNational Railの改札が3箇所にわかれている。1-9番線はここ、10-15はここ、15-20はここ、みたいな。改札間違えたら大変そうだぞ、と自分の乗る列車を探すも、まだ何番線に着くかわか表示されていない。改札前のパネルの前には、私と同じようにパネルを見上げてじっとしている人がたくさんいたが、これがなかなかすごくて、発車2分前にようやく何番線なのか表示される感じだった。だから表示された瞬間、みんな改札へダッシュする。なんてこった。なんでそんな直前なのよ。駅員も急げーとか叫んでる。いやいやいやいや。
時間通りに決められた場所にやってくる日本の交通機関本当にすごいよ。誇りに思う。
そんな感じでなんとか飛び乗り、乗り換えも成功しがたんごとんと揺れる車内で車窓を眺める。Heverへ行く電車は1時間に一本くらいしかなく、乗り遅れたら大変なのだ。ローカル線みたい。
車窓からの景色も緑が多くなってきて、本の中でも田舎田舎いわれてたもんなあと思いを馳せる。
がらがらの車内ではマダム達がアン・ブーリンの話をしていて、この人達もきっとヒーバー城に行くんだろうなと思ったらやっぱりHeverで一緒に降りた。
さて、ここから事前に調べたところによると徒歩30分の道のりらしい。
歩くのは好きだからいいけど方向音痴なんだよなーと思いながらGoogleMAPを開いて歩き始めると、先ほど車内にいたマダム2人から、あなたどこいくの?ヒーバー城ならこっちよ!って声をかけられる。
なんでも駅を出てすぐに正反対の方向へ歩き出した私に驚いて声をかけてくれたらしい。良い人たちだ。
Heverで降りたのは私含めて5人で、みんな目的地は同じだったので、一緒に行きましょうということになった。
私たちはデジタルなんかには頼らないというおばあちゃんマダム2人とヒーバー城には何回も来たことあるというマダムが先頭になってずんずんと歩き出す。みなさんイギリスの方らしく、日本からきたというと驚かれた。マダム達はバラを見に来たのだそう。
しだいに道ではない小道に入っていき、がさがさ草をかきわけながら進むことになった。草をかきわけたどり着いた先には牧場が広がっていて、驚いたことにマダムはその中へとずんずん入っていく。
木陰にはたくさんの羊!
しーぷ!って思わず指差すもマダム達にとっては珍しいものじゃないようで、はいはい羊ね、暑そうね。みたいな感じで受け流される。
どうやら、本当に牧草地を突っ切っていくみたいで、これがオフィシャルな道なの!とマダムは胸を張っていう。本当かよと思いつつも羊のフンを避けながら果てしなく続く牧草地を進んだ。
ここそもそも誰かの牧場では?牧草地では?不法侵入なのでは?と思いつつも広大な土地を歩くのは楽しくてのどかで開放感があった。
しかしながらここで先頭を歩くマダムが、出口がないわ、とかいいだすからさあ大変。
この広大な牧草地を私たちは結構歩いてきたというのに、そりゃあないぜ。
でもさーGoogleMAP開くとさー明らかに違うところに来ちゃってるの。ここはどこ、レベルのなんにもない場所。まわりには羊しかいないのよ。
まじ迷える子羊よ私たち。
おばあちゃんマダムたちはこのまま行く!戻るのはいや!この先には絶対出口がある!と言っていたが、この先にはなんにもないのよ、とGoogleMAPを見せて説得し、もときた牧草地を戻ったところで、出口を発見!
そこからはデジタルに頼って道を進み、牧草地を脱出。結局デジタルありがとうの巻であった。
なんとかヒーバー城入り口と書かれた門にたどり着いた私たち。徒歩30分のところを1時間半くらいかかったんじゃなかろうか。。。でもまあ着いたしね。いやはやいやはや。よかったよかった。
おばあちゃんマダムからはお礼にチケット代半分出すって言われたけど、既にオンラインで買っていたので大丈夫!はぶあないすでー!という感じで受付で別れた。
こういうこともあるのか。旅って。すごいな。
門から中へ入ると広大な公園のようになっていてなだらかな芝生がとてもきれい。のんびりとした雰囲気でピクニックをしている人もいる。
道を進んで行くと小さな川の向こうの方にお城が見えてきた。
堅牢な外壁と十字の窓、綺麗に這わされ育っている緑色のつたが門を彩っている。
これがヒーバー城!
美しいお城だった。
私はこういう四角いお城がとても好きだ。もう一目見られただけで嬉しくてなんだか泣きそうだった。ここでアン・ブーリンが生まれて育ったんだな。
興奮しながら入り口に出来ていた列に並ぶ。
オーディオガイドが借りられるらしい。お兄さんから日本人?日本語ないけどどーすると言われて、とりあえず英語でまわることにした。ぴえ。
私のリスニング力で展示物のあれこれがわかるんだろうか。あーやっぱ英語はちゃんと勉強するべきだったなーと過去いち後悔するも、気合いで聞き取る。なんか思いの外何を言っているかわかって楽しめた。
アン・ブーリンとブーリン一族、ヘンリー8世とその王妃達、アン・ブーリンの娘エリザベス女王についてはありとあらゆる媒体で履修済みだったからね。おたくは強いぜい。
城内は展示物だらけ。
ブーリン家の食卓やお忍びでやってきた王の寝室が再現されていたり
部屋の端や通路の脇に普通に大昔の家具がぽいっと置かれていたり
蝋人形が置いてあったりして一瞬どきっとした。
いまにも動き出しそうなんですが。
企画展ではヘンリー8世最初の王妃、キャサリン・オブ・アラゴンとアン・ブーリンの比較みたいなことをやっていたようだった。
かたやスペインの王女として生まれ、英国に嫁ぐも結婚するはずだった最初の夫をなくしたりしつつ紆余曲折の後、ヘンリー8世の激推しにより王妃となったキャサリン。カトリック。後に女王となるメアリーを産むも、男の子を産めなかったこと、歳の差により妊娠が難しい年齢に差し掛かってしまったことから王に見放されてしまった。最期は貧困と孤独のなか娘にもなかなか会えず息を引き取った。
かたや成り上がり貴族に生まれ、政治的策略の基王に差し出されたアン。しかし愛人としてではなく正式な関係を王に迫り、そのことが結果としてイギリスとカトリックを断絶へと向かわせた。王妃となり後に女王となるエリザベスを産むも、男の子を産めなかったこと、斬新な考えを持ち女だてらに権力を行使したことで周りに敵を多く作り、反逆罪を問われ、首を斬られて処刑されてしまった。
1人目の王妃と2人目の王妃。アンはそもそもキャサリンの侍女だった。複雑よね。
どちらも幸せな時もあっただろうが、その最期は悲劇的で、だからこそその物語性に人々は今もなお惹きつけられてしまうのだろうな。
私もその1人だ。
ちなみにアン・ブーリンの妹、メアリーはアンよりも先にヘンリー8世の愛人になりその子供を産むも、その子は非嫡出子とされてしまうが、その後身分はないが良い感じのイケメンと再婚して田舎で暮らしたりしている。要領が良い。
本当に対照的な姉妹だ。ぜひブーリン家の姉妹を読んで欲しい。もしくは映画を観てほしい。
私はなぜかやっぱりアン・ブーリンが好きだしどうしてもここに来たかった。本当に来られてよかったと思う。この美しいお城を引き取り整備してくれているお金持ちの人たちありがとう、と思いながら興味深く見学した。
本当にすごいのよ。アン・ブーリンの使ってた楽譜とか展示されてるの。彼女と最期の時を過ごしたといわれる聖書も。さすがご実家。大満足でした。写真は控えた方が良さそうな雰囲気だった。
ぼちぼち撮りはしたけれども。
城内をみてまわったあとはお庭を散歩することにした。お天気に恵まれすぎて暑いくらいでアイスを食べる。
もりもりもられたアイスを食べながらぼうっとまた城をみたり。
憧れのお城なのでね。もう何度みても飽きません。美しい。
お庭も広大でとりあえずローズガーデンを目指すことにした。ちょうど、バラが見頃らしい。
イタリア式の庭園は美しくきちんとしている。
この庭にも幽霊が出るらしいのよ。アン・ブーリンの。でもこんな良い天気だから幽霊とは無縁だろうなと思いながらずんずん進む。
素晴らしいお庭。そしてこの先にローズガーデンが広がっていて、ちょうど薔薇は見頃で香り高く咲き誇っていて素敵だった。見事だ。
日本でもよく薔薇を見に行っていたが、こちらの花はどっしりと大きい気がした。そういう品種なんだろうか。そしてやはり庭は梅干しみたいな匂いもした。肥料のにおいなのかな。
この素晴らしい季節に憧れのお城に来られただけてとても幸せ。アンも薔薇が好きだったに違いないの。彼女は肖像画のなかで薔薇を持っているのだ。
庭の先には池が広がっていてまだ先があるらしいがちょっと果てしないので行くのはやめておいた。広大だ。
せっかく憧れの城にきたので記念に写真を撮って貰った。
一人旅でもみんな頼めば快く写真撮ってくれるし、全然いいじゃん。と思い始めた4日目。慣れたもんである。。
帰りにお土産物屋さんに寄った。アン・ブーリンのペンダント(肖像にも描かれている、ブーリンのB)をモチーフにしたグッズがたくさん。
アン・ブーリンのテディベアまであった。ヘンリー8世のも。怖すぎる。そんなの絶対家におけない。隣に並べておいといていいのか?怖すぎる。
ヘンリー8世と6人の王妃、みたいな肖像画が描かれた7個入りのチョコも売っていて思わず買ってしまった。
さてさて、このお土産屋さん。会計のときレジのお姉さんがなんか早口でいってきてびびったー。会計なんてもう定型文じゃない。こちとら油断してるのよ。
なんでも、私が買おうとしているパンフレットは、それより安い向こうに置いてあるリーフレットと書いてある内容はほぼ一緒らしい。そっちの方がお得だけどいいの?っとそんな感じだ。
親切すぎる。そんなぶっちゃけてしまっていいのか?
そしてお姉さんは私の回答をじっと待っているので何か喋らなきゃならない感じだ。
へなちょこイングリッシュ炸裂である。
私はパンフレットの写真も見たい。アン・ブーリンが好きで日本から来たので、これを読んで素敵な思い出を大事にする。このお城の写真が好き。
ということを伝えようとした。お姉さんは、そしたらこっちのパンフレットの方がいいね。写真もたくさん載ってるし、と納得してくれた。
伝わったー、という感覚はやっぱり嬉しいものだね。
一日お城を満喫し、次の問題は駅まで徒歩30分。
万が一迷った時は1時間に一本しかない電車を待つしかない。
行きも迷ったが帰りは1人なので心細い。
そもそも牧草地に突入のルートはオフィシャルなのか疑わしいと思いながら進むと
やっぱり牧草地に入るらしい!!本当に??
Google map、、信じていいの?!
半信半疑。羊にものすごく見られながらずんずん歩く。羊と羊の間を通ったりしてどきどきである。羊も嫌そうだ。
そのうちまた広大な牧草地が広がりデジャヴやんと思いながら歩く。
絶対ちがうよー。ここオフィシャルな道じゃないよー。ただの牧場だよー。出口どこだよー。。。
と思ったら、、これですよー。出口。
おもむろに貼られたシール!
National Rail はこっち、じゃないよー。
牧草地つっきるのオフィシャルなんかーい。
しかし出口を見つけられて本当によかった。
見つけられずに通りすぎていたら牧草地を1人で彷徨うところだった。
無事駅に到着!
今日は特にアクシデントもなくロンドン市内に戻ることができた。
ちなみに自分用のお土産にはアン・ブーリンのあひるをかったの。このあひるを見るたびに今日のことを思い出すんだろうな。
ホテルに帰って寝る前にアンナ・ボレーナの私の生まれたあのお城、をきいた。そしてそのまますやすや寝た。
ロンドン旅行記3日目
少しだけ遠出をするので早起きをして早めに朝食をいただく。
今日は朝食で部屋の番号も通じた。昨日より上達したのでは(向こうが覚えてくれただけでは)
朝食はスクランブルエッグとトマトで煮た豆、ソーセージにマッシュルームの炒めたやつ。トマトの焼いたやつ。芋の揚げたやつ。伝統的なブリティッシュブレックファーストってやつだ。ほとんど昨日と同じメニューだったがもりもりいただいた。パンも5個くらい食べる。朝は大事だ。
昨日は地下鉄、ボート、バスに乗ったが、今日はナショナルレイルというやつに乗る予定で、ちょっと心配でドキドキしていた。ロンドンから少し離れた場所。目指すはハンプトンコートパレス。ヘンリー8世とその王妃達も多く滞在した宮殿に行く。幽霊も出るという噂の場所なのでそういう意味でもドキドキだ。
会ったらどうしよう。まあきっと英語で話すだろうし何言ってるかわからんだろう、と勇気を出して出かける。
外は幽霊とは無縁であろう晴天。綺麗に晴れていて清々しい。
Wimbledonまで地下鉄で行きそこから乗り換える。ナショナルレイルの乗車券はTrainlineで購入した。オイスターでも乗れるらしいがピンと来なかったため。改札にe ticketをかざすとすぐ開いてあとは電車をベンチで待つ。
ハンプトンコート駅につくとまさかの日本語で案内がでていた。なんか嬉しい。いっつあすもーるわーるどみたい。
橋を渡り近付くにつれて見えてきたハンプトンコートパレス。
門をくぐるととどーんと堂々たる姿が奥の方に。
そして左横にはカラフルなお花たちが。色の組み合わせが素敵。自由にのびのびと、自然なお花畑といった感じ。良い季節にきたなあ。
ハンプトンコートはトマス・ウルジーというヘンリー7世、8世の御代に力を持った家来が贅を尽くして建てたところで、彼がヘンリー8世に捧げたことで国王の拠点のひとつとなった場所。
ウルジー卿はヘンリー8世と1人目の王妃キャサリン・オブ・アラゴンの離婚をうまく進められずに信頼を失い失脚している。そこらへんはウルフ・ホールというドラマで丁寧に描かれていた。
昔からいわゆるチューダー朝といわれる時代の人々や歴史に興味があって、そこらへんの時代の本やら映画やらドラマは一通り履修済みなのだ。
今回の旅もチューダー朝の空気が感じられる場所に出来るだけ訪れたいと計画した。
なのでここはまさに憧れの場所のひとつだったのだ。チューダー朝の空気を感じられる。今日は閉園までここにいる予定だ。
事前にチケットを買っていたのでまずはオーディオガイドを借りることに。
看板も日本語があったくらいなので、日本語の
オーディオガイドあるはずと思ったら、やっぱりあってこれがまた素晴らしいやつだった。
特にヘンリー8世エリアのオーディオガイドは史学者達の解説を聞けるタイプと、トマスというヘンリー8世の家来が邸を案内してくれるドラマタイプの2通り用意されていて豪華だ。
ヘンリー8世エリアはそもそもどこから?というくらい広いので係りの人にきいてみた。ここをまっすぐ行って左、みたいなので言われた通りに向かう。中学のとき英語のリスニングでやったやつ。ここにきて役に立つとは。
どこもかしこも精巧な装飾。そしてこの茶色の外壁にどうしてもときめく。
たどり着いたこの階段はまさにヘンリー8世の時代に人々が使っていたものらしい。そんな階段を上がっていいのか?
この扉もまさにヘンリー8世の時代に人々が通っていたものらしい。いいんですか本当に?!
階段と扉だけで興奮をおさえきれないでよくこの先に立ち入れることができたなって感じの場所がその先には広がっていた。大広間だ。
ここはヘンリー8世と2番目の王妃、アン・ブーリンが結婚した時代に建てられた場所。贅を尽くした空間で天井なんかいくらでも見ていられる気がした。当時はもっと鮮やかだったらしい。今でもこんなに圧倒されるのに。
王というものの権力がいかに大きかったか、いまだに思い知らせる。
どこもかしこも見事だなとしかいいようがないが、その時オーディオガイドが気になることを言ってきた。
ヘンリー8世とアン・ブーリンの徽章の話である。婚礼時、ここには2人のHとAが混ざった徽章が沢山飾られていたらしい。
しかし婚礼後、世継ぎとなる男子に恵まれず、アン・ブーリンは反逆罪を言い渡されてロンドン塔で処刑されてしまった。
ヘンリーはそのタイミングで徽章も全部とってしまうように家来たちに言い渡したが、奇跡的に1つだけ外し忘れて、残っているものがあるという。。。
そんなの!!みたいにきまっているよ!!!!
しかしながらオーディオガイドの案内に従ってもなかなかそれはみつからない。
30分くらい探しただろうか。どうしても見つからないのでスタッフっぽい人を捕まえてきいてみる。
するとスタッフの人はにやりと笑って部屋のはじの壁の方を指差してくれた。
おわかりいただけただろうか。
ヘンリーのHとアンのAがあわさっている!!!
これだー!!!!!!
他は全部HRなのにこれだけ違う!!
この日一番興奮しましたとも!!!!
これ見つけにくいよねーとスタッフの人も言っていたけどこれは本当に難しい!!
そしてオーディオガイドの案内はなぜこれの場所を教えるときだけちょい雑なのだい!!!
広間には大きな椅子が二つをおかれていて王と王妃の椅子なのだということがわかる。
せっかくなので王妃の席に座ってみた。そして写真を撮って貰った。
隣の空席ぐあいがなんとも寂しいが、私は男の子欲しさに首を斬る男との結婚なんてごめんである。これでよいのだ。
この大広間以外にもここには様々な部屋があって、どこもかしこもチューダー朝の風がびゅんびゅん吹いていた。
家臣達が王を待つ部屋とか、小姓の控室とか、当時のトイレまで。
しかしなんといっても有名なのが、ゴースト・ギャラリーである。
ヘンリー8世の絵も飾られているんだけれど、ここは5番目の王妃、キャサリン・ハワードの幽霊が出ると言われているところだ。
手前から奥にかけてこの廊下を泣き叫びながら走っていくとのこと。廊下は走っちゃいけません!って感じだが彼女には彼女の理由があるのだ。
キャサリン・ハワードはその若さと美しさから国王を釣るために差し出された。彼女の後ろには地位や名誉を欲する男たちがいた。アン・ブーリンやジェーン・シーモアと同じだ。
国王はドイツの方からやってきたアン・オブ・クレーヴズを気に入らず、キャサリン・ハワードに夢中になったらしい。
キャサリン・ハワードは当時は多分16歳とか、そのくらいだったんじゃないだろうか。
それなのに年寄りでかつ古傷が腐り悪臭を纏い気分が山の天気ほどに変わりやすいきもおじたる国王の相手をしなきゃならなかったんだからそれだけで悲劇だ。王は彼女を余の棘のない薔薇と呼んだらしい。いやはやきもすぎる。本当によく頑張ったと思う。
そして彼女にも男の子をもうけなければならないという重圧があった。私はきもおじにはもうその機能はなかったのでは、と思う。だってもうお年ですから。だけれど作らなければならなかったし彼女はまだ若い女の子だった。
キャサリン・ハワードは王以外の若いイケメンといたした、という反逆罪で捕らえられてロンドン塔で処刑されてしまう。
このゴースト・ギャラリーは反逆罪でハンプトンコートパレスで捕らわれた彼女が、この先にある礼拝堂で祈る王の元に走って向かい慈悲を乞おうとした場所だという。彼女の魂はいまもその日を何度も何度も再現している、ということでここに現れて泣き叫びながら走り去っていくらしい。
残念ながら幽霊は見られなかったが、ここのベンチに腰掛けたとき急激な眠気に襲われた。ただの時差ぼけ?それとも……?
いわくつきの場所ということで、広大な敷地をもつハンプトンコートパレスでも、このゴースト・ギャラリーで具合が悪くなる人が圧倒的に多いとのこと。
やはりここには幽霊がいるのだろうか。
私には見えなかっただけで??
ちなみにハンプトンコートパレスで1番有名なのはキャサリン・ハワードの幽霊だろうが、ほかにも幽霊は目撃されている。ウルジー卿、ジェーン・シーモアやヘンリー8世、そしてアン・ブーリン。本当にここは結構な幽霊スポットなのだ。私の霊感がなさすぎて1人も見られなかったけれども。
さて、ゴースト・ギャラリーの先を進むと礼拝堂や評議会の部屋などがあり、また広い廊下へ出る。ここにはヘンリー8世の家族写真的な絵画が飾られていた。
これである。真ん中がヘンリー8世。その右隣にいるのが3番目の王妃、ジェーン・シーモア。
左にいるのがエドワード6世。ジェーンは彼を産んですぐに亡くなった。(そしてその数年後ドイツから4番目の王妃アン・オブ・クレーヴズがきて、でもだめでさっきのキャサリン・ハワードが王妃になる、とそういうわけだ)
ジェーン・シーモアの隣にはエリザベス1世、エドワード6世の隣にはメアリー1世が描かれている。
私が驚いたのはメアリー1世の後ろの女性である。
彼女の名前はハンナ。道化である。
え?!って感じである。私は彼女を知っているのだ。まさかこんなところで会えるとは。
フィリッパ・グレゴリーが書いたブーリン家の姉妹2愛憎の王冠という本があるが、その主人公こそが聖なる愚者、女道化のハンナなのだ。ハンナって実在してたんだ?!というかここから着想を得たに違いない!!?!
思わぬ出会いにまた興奮してしまった。
こういうの本当に楽しい。びっくりしたー。
ヘンリー8世エリア、大満足。このコースは3回くらいまわり直したりして楽しんだ。
1巡めは史学者のオーディオガイドをきき、2巡目はトマスの案内を受け、3巡めはじっくりと何もきかないで回った。大広間に至っては何度も何度も近くにくるたびに入ったりして楽しんだ。
途中女王陛下のお出ましがあったりして(Your Majesty!をみんなで言わなきゃならないところがあって人生初のゆあまじぇすてーを経験。一度でいいから言ってみたかったので嬉しい)楽しかった。
個人的にはトマスが案内してくれるオーディオガイドが没入型でとても良かった。ヘンリー8世と6番目、つまり最後の王妃のキャサリン・パーの婚礼の日に招待された客人というていで邸内を回れる。トマスはヘンリー8世の家来なので、彼の悪口はなにもいわない。悪いのは全部王妃だ。本当によくできているなあと思った。
次はヘンリー8世時代の厨房やワイン倉庫を再現したエリアへと向かう。
ワイン倉庫係は重要だったそう。
庭にはワインの噴水があったし(客人にワインをそこで振る舞ったそうな)
なんだかパイが食べたくなる。気付けば14時。4時間ほどヘンリー8世ゆかりのエリアにいたらしい。
ここのカフェではチューダー朝のパイ、とやらが食べられるらしく向かってみた。
どーんと大きなパイはなかなか良いお値段。お酒は売って無かったのでたっぷうぉーたーとやらをいただく。
パイは思いの外熱々でざくざくで美味だった!
このチューダー朝のパイ、ヘンリー8世がここハンプトンコートパレスでテニスをした後に好んで食べたものを再現したそうだ。
お昼ご飯も食べ少し休憩したので他のエリアにも足を伸ばす。ウィリアム3世のエリア、ジョージ1世のエリアはまた異なる装いだ。時代が違うしな。
こちらは王に謁見する間にたどり着くまで、たどり着いてからの王のプライベートみたいなガイドだった。当時の王は食事や寝ているところを一般公開しなきゃならなかったらしく、それはなかなかきついなと思ったりした。全く異なる時代の装飾、美術品、調度品、王というものの力のあり方が一つの場所で見られるなんてすごい贅沢な場所だ。
こちらとっても綺麗!と思ったが当時この絵はコスト削減の手法だったらしい。えーじゅーぶんごーかなのですがー。
それから立派な階段を立派に上り下りしてみたり
武器の装飾を眺めたり
窓から広大すぎる庭を眺めたりした。
ジョージ1世についてあまり知らなかったんだけどなかなか面白そうな人だ。本を探してみようと思った。
そんな見所満載のハンプトンコート。やはりヘンリー8世エリアが1番人気らしく、他のエリアは空いていて結構貸切みたいな感じだった。ここまで人がいないとなると、幽霊が出るのでは、なーんて出現を密かに期待したが、おらず。
良い天気だったのでお庭の散策もさせていただいた。
庭師がきれいに手入れしている庭は美しく、そして何より薔薇が綺麗な季節。良い天気でたまに吹く風が気持ちよかった。
庭はなぜか梅干しの匂いがした。肥料のにおいなのか、お花の匂いなのか。
それにしても本当に広い。
1日いたが迷路の庭とかもあるみたいだったがそっちの方までは行けなかった。
閉園時間も近づき、さて帰るかと駅に向かいながら帰りの経路を検索すると……ホテルの最寄り駅の地下鉄が止まっていた。なんか故障したらしい。信号機が。なんということでしょう。
あろうことかホテルの最寄りの駅が通行止めの区間にばっちり入っており、行きと同じ経路は使えなさそうだ。
ハンプトンコートはちょっとだけ郊外なので、とりあえずロンドン中心に近付いておきたい。いい感じの駅で降りていい感じの地下鉄に乗ろうといい感じの電車に乗った。
私は焦っていた。なぜか。
グローバルWi-Fiの充電がピンチっぽかったからだ。昨日の夜うまく充電ができていなかったらしい。こやつが終わったら私も終わる、。
とりあえずなるべくたくさんの地下鉄の路線が通った大きな駅で降りてみたがそこでWi-Fiの充電が尽きた。わおわお。ここでか。
自分がデジタル社会にどれだけどっぷり浸かっていたか思い知ったよね。Wi-Fiがないとなんにもできないのよ。
頭が真っ白になったが、とりあえずスリには気をつけようと貴重品の入ったポシェットの上からカーディガンを羽織ってみた。
それから万が一の時のために携帯していた地球の歩き方の付録でついていた地図と路線図を取り出してみる。まさかこれを開く日がくるとはね。
今自分がどこにいて、ここからホテルに1番近い駅はどこなのか、わかればいいのだ。
なんとなくあたりをつけたが自信がないので駅員さんに話しかけてみた。
駅員さんはポンコツイングリッシュを駆使してなんとかホテルに帰ろうとしている日本人を可哀想に思ったのか、めちゃくちゃ丁寧に教えてくれた。ここの駅で降りな。ここで乗り換えて、わんつーすりーふぉーふぁいぶ、しっすく!おーけー?みたいな。いい人。
それでなんとか地下鉄に乗ったんだけど、1番の戦いは地下鉄の駅を出てからだったね。
普段Google MAPに頼りまくって生きている方向音痴の人間が、通りの名前を頼りに歩くという冒険。地図をみて歩いたのなんて、いつぶりだろう。
ようやく見慣れた通りに出た時には喉がカラカラに渇いていた。のでパブでいっぱいいただいた。
しみたねー。もう心から美味しかった。
でもWi-Fi無しで帰ってこられたのだということは生きる力、結構あるのではと自信に繋がった。
それからホテルに帰ってスーパーに行って夜ご飯とビールを買った。そしてすぐ寝た。もうぐっすり。時差ぼけとは。気持ちの良い疲れだった。