ロンドン旅行記2日目

今日から本格的に観光をする。4時くらいに起きてしまってドキドキしながら今日行くところの下調べを再度したりして朝食の時間を待った。

朝食の受付で部屋の番号を英語で伝えるも伝わらず(どんな発音やねん)、コーヒーと紅茶どっちがいい?ときかれただけで若干びびるも温かく美味しい紅茶をいただき、たらふく朝食をとって会場を後にする。

やっぱり紅茶は美味しいよなー。朝は珈琲派だが圧倒的に紅茶が美味しい。香りが違うような気がする。

 

さて歯を磨こうとホテルに備え付けられてたグラスを手に取り洗面台に置いた後、事件は起こった。

歯磨き粉取ろうとした時、グラスを押してしまったらしく、そのまま床へ。ものすごく綺麗に、ドラマのようにぱりーんぱりぱりーんと粉々に砕けてしまった。うわーお。朝からついてねー。

フロントに言うしかないよなと向かいながらも怒られたらどーしよー弁償かしらんなどなどドキドキである。

私の心配をよそにフロントのお姉さんは別にどうってことなさそうでニコニコしながら、あらそうなの?怪我はないの?ならよかった、じゃあルームクリーニングの人に言っとくね〜ってそれだけだった。

ちなみにルームクリーニングのマダムはすぐにやってきてテキパキテキパキと片付けてくれた。もちろんチップを渡した。

プロだー。よかったー。

晴れやかな気持ちで出かけることができた。

 

まずウェストミンスター寺院を目指す。

地下鉄のホームを歩いていると大きなわんこが当たり前のようにいて飼い主さんと一緒に車内へ乗り込んでいった。驚き。ドイツもそうだったけどロンドンも良いんだね。わんこに優しい国。

 

地下鉄のなかは本を読んでいる人が多い気がした。電波が通じないからなのか。昨日のおそろしい広告を探すもみつからず。目的の駅に着くと地下から上がってまっせー!という感じの長い長いエスカレーターに驚く。立つ位置は右側。犬を抱えて乗っている人もいて、くまのパディントンが人の犬を抱えて右足で立ってエスカレーターに乗っていたのを思い出した。

地上へでるととどーんとした建物。ただの通りの建物すらも1854とか書いてあるんだものなー。すごいよなー。

そう思っていると、聳え立つ荘厳なゴシック様式の教会にもはや圧倒される。遠くから見てもすごいし近くで見てもすごい(語彙力よ…)

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その姿はガイドブックで何度もお見かけしておりましたがやはり自分の目で、目の前にすると全然違う。そしてなんとこの建物は1000なん年とかからあるのだ。もはやいつ最初に建てられたのかわからないくらい歴史があるらしい。増築が繰り返し行われ多くの偉人が眠る場所。有名な戴冠式の場でもある。

そんな場所にいままさに足を踏み入れようとしているんだなぁと思うと気持ちも高揚する。

入口はどこぞやと探して回るとぐるっと歩いた所にお兄さんが1人立っていてチケットを確認しているらしい。事前にチケットは買っていたがまだ時間が早く入れて貰えるかなと差し出すとパーフェクトと言って通してくれた。

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入口からもう素晴らしい。美しい。

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なんか可愛らしい。

そして中に入ると言葉を失ってしまう。

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オーディオガイドを貸して貰ったがしばらく天井やステンドグラス、目に見える様々なものたちを眺めていた。こんなにも美しいだなんてな。

畏れ多いくらいである。

写真を撮る手もなんか震えちゃうよ。

ちなみにやはり一昔前まで内部の撮影は禁止されていたらしいのだが今はしてもよくなっている。いや本当にいいんですか?!って感じなんだけど。せっかくなので撮らせていただきました。

ふと下を見ると

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お墓。

横を見ると

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お墓。

お墓だらけときいていたけど本当にお墓だらけ。

床にあるお墓は普通に踏まれたりその上に椅子が置かれたりしている。

お墓を踏むなんていいのか?と思いつつもしばらくすると墓慣れしてきて大丈夫になったし、最後の方はもはや墓酔いしてた。そのくらいお墓がたくさんあるところである。

唯一踏まれないようにされているのは無名戦士の墓。戦争で亡くなった兵士を追悼するもので写真を撮るのは控えておいた。周りを赤色の花で囲った美しいお墓だったし、その存在もそして踏まれないようにしてあることも美しいと思った。

あとは主祭壇の床の装飾も美しかった。戴冠式が行われるのはまさにこの場所らしい。こちらも撮影は控えておいた。あまりにも畏れ多い。

 

ニュートンのお墓もあった。

目の前のニュートンの彫刻に目を奪われて

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みんなめっちゃ踏んでいたが、多分こっちがお墓なんじゃないかな。わからんが。

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1番見たかったのはエリザベス1世(とメアリー1世)のお墓。

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ヘンリー8世の最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴンの娘がメアリー1世で、2番目の王妃アン・ブーリンの娘がエリザベス1世

キャサリン・オブ・アラゴンアン・ブーリンにその座を奪われて貧困の中で亡くなり、メアリー1世エリザベス1世に仕えさせられた事もある。宗教に対する考えも全く違い、因縁の深い2人が同じお墓に入っているなんて…しかもエリザベス1世の下にメアリー1世が入っているなんて…ね…。

エリザベス1世のお墓の上の飾りの薔薇と落とし格子はヘンリー8世、鷹はアン・ブーリンをさしているのだそうだ。興味深く眺めた。

ちなみに多くの王族が埋葬されているなかでヘンリー8世ウェストミンスター寺院への埋葬は許されずウィンザー城で眠っている。

ヘンリー7世の聖母の礼拝堂も素晴らしかった。

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このアーチ型の天井、チューダー朝のものらしい。いつまででも見ていられるよな…。

 

一応音楽を勉強していたので馴染み深いヘンデルさんのお墓も発見。ヘンデルはドイツ出身なんだけどイギリスで活躍したんだよね。

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さてオーディオガイドによるとウェストミンスター寺院にはヘンリー8世の4番目の王妃、アン・オブ・クレーヴズのお墓もあるらしい。

しかしながら案内の仕方がめっちゃ雑でして、どこにあるのか本当にわからず探し回った。

ようやく見つけたお墓。

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いやいや……みつかりませんて……。

逆によく見つけたなと自分をほめたい。

アン・オブ・クレーヴズは肖像画を見たヘンリー8世に見そめられ(そしてプロテスタントの王妃を迎えたいというクロムウェル卿の策略もあり)ドイツからわざわざ来て結婚したのに半年くらいで離婚させられて彼の妹として過ごした人。

フィリパ・グレゴリーのブーリン家の姉妹4悪しき遺産を何度も読んでいるが、結局この人がヘンリー8世の6人の王妃のうち、1番幸せだったんじゃないかと個人的には思う。

突然捨てられたわけでも反逆罪とかいって首を斬られたわけでもないし、王子を産んで命を落としたわけでもないし、墓を暴かれたわけでもない。

 

好きだった墓は(好きだった墓とは…?)

難産で死んでしまった妻を死から遠ざけようとする姿をあらわしたもの。

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死が夢に出てきそうな怖さ。

 

そして私がもしお墓を作るんだったらこういうのがいいなと思ったもの。

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絶妙に緩くて好き。

 

出口付近にあった踏まれすぎてこうなってしまったのかもともとこのような形状なのかわからないけど1082と読める古いお墓。

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お墓じゃないけどシェイクスピアの記念碑。

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建築、装飾、歴史、宗教、などなどなど様々な側面から楽しめる場所だった。大満足。

せっかくだから最後に寺院の前で写真を撮って貰った。

1人旅なので誰かに声をかけて撮って貰わなきゃだったが、そういう時は同じ旅行者っぽい人に声をかけるようにしていた。

アメリカ人のおじさんは勿論!といって撮ってくれたが上の方が絶妙に切れててなんか笑っちゃった。それもよき。

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次はボート乗り場へ向かった。ピーターパンの時計を横目に足早に歩く。

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ボート出発2分前にテムズ川のボート乗り場へ到着。お兄さんに急いでー!って言われて走りなんとか間に合った!ひい!

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景色を眺めながらどんぶらこっことグローブ座へ向かう。ボートもオイスターカードで乗れるなんてすごく便利だなあ。

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午後はグローブ座でA Midsummer Night's Dreamを観劇する。立見席を購入したのでなるべく早く行って並び良い席を確保しようと思っていたけど、グローブ座の入り口のスタッフの人にまだ早すぎるよ。14時からだよ。と言われてしまう。

 

そしたらなんか食べようかな、と思いぶらぶら歩くとパブを発見す。結構空いている。看板にはでっかくフィッシュ&チップスって書いてあって、せっかくだから食べてみようと中に入ってみた。が、システムがわからん。

するとロード・オブ・ザ・リングのメリーに似た店員が話しかけてきた。どうやら飲むだけなのかどうかを確認されているようだ。ご飯も食べたいというとメリーはめっちゃ早口でばばばばばっとなにやら説明してくれた。

まずテーブル選んで、であそこのカウンターで注文してねって、テーブルに番号が書いてあるからそれを伝えてね、とそんな感じだろうか。

おー…けい?(全然OKではない)といいながらわかりやすい番号のテーブルに目星をつけてカウンターに向かう。

するとエルフみたいに綺麗なお姉さんが微笑んできた。なんなんだここは。中つ国か。

とりあえずビールをば、とこれだけは完璧にしようと発音の練習をした「あぱいんとおぶびたー、ぷりーず」を言ってみる。

エルフのお姉さんはビターはこれとこれだけどとサーバーを指差して教えてくれて、こっちと指差してビールのオーダーは完了した。あとフィッシュ&チップス!プリーズ!テーブルの番号は1番!と頼んでみる。エルフのお姉さんはうんうん頷きながらサーバーのレバーをぐいっぐいっと引くとずんぐりとしたグラスに濃い茶色のビールがたっぷりと注がれた。素敵。寿命が伸びそう。

カードで支払いをしてテーブルへ戻る。

 

きゃー!!パブでビールが頼めたー!!!!

記念すべきパブでの1杯目!!!

 

さっそく飲んでみる。

噂通りそこまで冷たくはなく、飲むと喉奥で心地よい苦みと香りが広がって鼻に抜けた。とても美味しい。なるほど、これがびたーってやつなのね。

そこへフィッシュ&チップスがやってくる。f:id:nusyoku:20230701205840j:image

あ!げ!も!の!って感じ。とても大きなフライだ。でも思ったよりもジューシーで軽くて美味しい。全然べとべとしていない。タルタルで食べてもよし。レモンをかけてもよし。チップスはフライとは逆にねっとりと濃厚な食感。これもまたよし。そしてこれでもかこれでもかというほどのグリンピースをフォークでなんとか掬って食べた。

 

量が多かったけどばっちり完食!

 

重たくなったお腹を引きずるようにグローブ座へ戻る。チケットを見せるとマダムから右奥の扉の前で待つように言われた。すると20人ほど既に並んでいた。

立見席は舞台前の中庭の好きなところで観劇できる席。まわりの背が高いので出来れば前の方に陣取りたい。あんまり後ろだと舞台が見えない可能性がある。

 

心配は杞憂に終わりちゃっかり1番前をゲット。ライブハウスみたい。舞台に手が置ける距離感。

こんなに目の前の真ん中で見られるの?!と思わぬ幸運にびびりまくる。

 

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床の部分がちょうど口のあたりだった。

 

グローブ座は木造、茅葺き屋根と昔全焼してしまったエリザベス朝当時の姿を忠実に再現している。屋根付きの席は身分の高い人達の場所で今も結構良いお値段がする。

そして今も昔も中庭の立見席は庶民の場所。1番安く最安値£5。私は£10で購入したが、それでも十分過ぎるくらいお得だ。

上をみると空。

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中庭には天井がないので雨が降ったら雨にあたるしかない。でも舞台の目の前でかぶりついて観劇できるすごい席。運良く当日は見事な晴れ。あとは2時間半という公演時間に足が耐えられるかどうかだ。

舞台の天井には世界はひとつの舞台、という思想を基に惑星や十二宮図、恒星が描かれ

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ヘラクレスの柱と呼ばれ大きな2本の樹が左右に立っている。

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柱があるところ、能楽堂に似てて不思議な偶然だ。そういえばこの世ならざるものが出てくるところも、少し似てるかもしれないな。

 

A Midsummer Night's Dreamは昔観たが復習がてら行きの飛行機で映画を観てきた。

妖精と人間のカップルたち、そして余興の劇をするために集まった職人たちが織りなすはちゃめちゃな喜劇。

夏至の前の夜の出来事らしく、ちょうどだったのでこれは是非とも今日観劇せねばと思ったわけだ。

本当に目と鼻の先に役者さんがきて衣装の綻びすらも見えるくらい近い。唾もたくさん浴びた。目の前に演者の靴の足の裏が突き出されたこともあった。

 

舞台の上には大道具や大掛かりな演出は全くない。

ただただ役者自身の演技力とシェイクスピアの描いた筋書きが私たちを真夜中の森の中へと引き込んでいく。

こんなに近くで演技をみるのははじめてだったしそこがロンドンのグローブ座だということもあったけと、今までで1番良い演劇をみたなと思う。

 

そして本当の意味でダイバーシティだった。

私はダイバーシティがなんなのか、多分今までわかってなかった。

女が女の役を演じる必要も男が男を演じる必要もない。性別や肌の色、宗教、障がい、全く関係なくただ各々がその役を好きなように全力で演じている空間だった。

シェイクスピアの台本はクラッシック音楽の楽譜ではない。演劇は再現芸術ではない。

同じ台詞も全く違う風に表せるし、ひとりの、唯一無二の人間が演じるからこそそこに面白みがうまれる。

特に私の中でのパック!は完全に覆されたのに成立していたし、むしろこれも正しいと思うくらいの自由さだった。

最前列で演じるということの楽しさや熱量を惜しみなく唾と一緒に浴びせかけられ続けた贅沢な時間だった。

英語はわからないものの台詞を知っているのでお腹をかかえて笑ったし心の底から楽しめた。

もしまたここな来る機会があったら絶対にまた立見がいいなと思う。本当に近すぎる。

舞台が終わって拍手と一緒にフー!!!!って叫んでたし、出るときどうだった?ってスタッフの方にきかれてファンタスティック!!!!って心から叫んじゃった。

それくらい素晴らしい経験だった。すごいなあ。いいなあ。グローブ座。来月はマクベスをやるみたいだ。おまじないからやるんだろうか。また行きたいな。

 

そんなこんなで数時間立ちっぱなしではあったものの、全然疲れておらず、むしろ元気いっぱいだったのでイーストエンドへ夜ご飯を買いに行こうと考える。

オイスターでバスに乗って行く。本当に赤色!本当に二階建て!お目当ては美味しいと有名らしいソルトビーフベーグルだ。

イーストエンド自体が切り裂きジャックの事件の現場なのでバスに乗りながら通りを確かめ、あそこの通りで……とか、ここらへんにあるパブで働いていたら人が……とか思いを勝手に馳せる。切り裂きジャックはミステリ好きからすると面白い事件ではあるが、やっぱり怖いよなー。

しかしお目当てのパン屋さんのおばさんの方が怖かったりして、私の渾身のソルトビーフベーグル、プリーズは通じなかったよう。メニューを指さすと笑われてしまった。いいのよ。通じればいいの。

お昼ががっつりだったので全然お腹が空いておらずホテルに持ち帰って後から食べたけど、めちゃうまだった。まずベーグルがおいしい。もちもちでしっかしりている。あいだに挟まるのはこれでもか、これでもかというほどのソルトビーフ

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一緒に挟まっているピクルスとマスタードとのハーモニーが最高。ビールとの相性は言わずもがな。大変美味しくいただきました。

地球の歩き方に載ってて是非とも食べなければと思ってたの。食べられて良かった。

この日も時差ぼけはなくするっと眠った。