ロンドン旅行記2日目

今日から本格的に観光をする。4時くらいに起きてしまってドキドキしながら今日行くところの下調べを再度したりして朝食の時間を待った。

朝食の受付で部屋の番号を英語で伝えるも伝わらず(どんな発音やねん)、コーヒーと紅茶どっちがいい?ときかれただけで若干びびるも温かく美味しい紅茶をいただき、たらふく朝食をとって会場を後にする。

やっぱり紅茶は美味しいよなー。朝は珈琲派だが圧倒的に紅茶が美味しい。香りが違うような気がする。

 

さて歯を磨こうとホテルに備え付けられてたグラスを手に取り洗面台に置いた後、事件は起こった。

歯磨き粉取ろうとした時、グラスを押してしまったらしく、そのまま床へ。ものすごく綺麗に、ドラマのようにぱりーんぱりぱりーんと粉々に砕けてしまった。うわーお。朝からついてねー。

フロントに言うしかないよなと向かいながらも怒られたらどーしよー弁償かしらんなどなどドキドキである。

私の心配をよそにフロントのお姉さんは別にどうってことなさそうでニコニコしながら、あらそうなの?怪我はないの?ならよかった、じゃあルームクリーニングの人に言っとくね〜ってそれだけだった。

ちなみにルームクリーニングのマダムはすぐにやってきてテキパキテキパキと片付けてくれた。もちろんチップを渡した。

プロだー。よかったー。

晴れやかな気持ちで出かけることができた。

 

まずウェストミンスター寺院を目指す。

地下鉄のホームを歩いていると大きなわんこが当たり前のようにいて飼い主さんと一緒に車内へ乗り込んでいった。驚き。ドイツもそうだったけどロンドンも良いんだね。わんこに優しい国。

 

地下鉄のなかは本を読んでいる人が多い気がした。電波が通じないからなのか。昨日のおそろしい広告を探すもみつからず。目的の駅に着くと地下から上がってまっせー!という感じの長い長いエスカレーターに驚く。立つ位置は右側。犬を抱えて乗っている人もいて、くまのパディントンが人の犬を抱えて右足で立ってエスカレーターに乗っていたのを思い出した。

地上へでるととどーんとした建物。ただの通りの建物すらも1854とか書いてあるんだものなー。すごいよなー。

そう思っていると、聳え立つ荘厳なゴシック様式の教会にもはや圧倒される。遠くから見てもすごいし近くで見てもすごい(語彙力よ…)

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その姿はガイドブックで何度もお見かけしておりましたがやはり自分の目で、目の前にすると全然違う。そしてなんとこの建物は1000なん年とかからあるのだ。もはやいつ最初に建てられたのかわからないくらい歴史があるらしい。増築が繰り返し行われ多くの偉人が眠る場所。有名な戴冠式の場でもある。

そんな場所にいままさに足を踏み入れようとしているんだなぁと思うと気持ちも高揚する。

入口はどこぞやと探して回るとぐるっと歩いた所にお兄さんが1人立っていてチケットを確認しているらしい。事前にチケットは買っていたがまだ時間が早く入れて貰えるかなと差し出すとパーフェクトと言って通してくれた。

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入口からもう素晴らしい。美しい。

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なんか可愛らしい。

そして中に入ると言葉を失ってしまう。

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オーディオガイドを貸して貰ったがしばらく天井やステンドグラス、目に見える様々なものたちを眺めていた。こんなにも美しいだなんてな。

畏れ多いくらいである。

写真を撮る手もなんか震えちゃうよ。

ちなみにやはり一昔前まで内部の撮影は禁止されていたらしいのだが今はしてもよくなっている。いや本当にいいんですか?!って感じなんだけど。せっかくなので撮らせていただきました。

ふと下を見ると

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お墓。

横を見ると

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お墓。

お墓だらけときいていたけど本当にお墓だらけ。

床にあるお墓は普通に踏まれたりその上に椅子が置かれたりしている。

お墓を踏むなんていいのか?と思いつつもしばらくすると墓慣れしてきて大丈夫になったし、最後の方はもはや墓酔いしてた。そのくらいお墓がたくさんあるところである。

唯一踏まれないようにされているのは無名戦士の墓。戦争で亡くなった兵士を追悼するもので写真を撮るのは控えておいた。周りを赤色の花で囲った美しいお墓だったし、その存在もそして踏まれないようにしてあることも美しいと思った。

あとは主祭壇の床の装飾も美しかった。戴冠式が行われるのはまさにこの場所らしい。こちらも撮影は控えておいた。あまりにも畏れ多い。

 

ニュートンのお墓もあった。

目の前のニュートンの彫刻に目を奪われて

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みんなめっちゃ踏んでいたが、多分こっちがお墓なんじゃないかな。わからんが。

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1番見たかったのはエリザベス1世(とメアリー1世)のお墓。

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ヘンリー8世の最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴンの娘がメアリー1世で、2番目の王妃アン・ブーリンの娘がエリザベス1世

キャサリン・オブ・アラゴンアン・ブーリンにその座を奪われて貧困の中で亡くなり、メアリー1世エリザベス1世に仕えさせられた事もある。宗教に対する考えも全く違い、因縁の深い2人が同じお墓に入っているなんて…しかもエリザベス1世の下にメアリー1世が入っているなんて…ね…。

エリザベス1世のお墓の上の飾りの薔薇と落とし格子はヘンリー8世、鷹はアン・ブーリンをさしているのだそうだ。興味深く眺めた。

ちなみに多くの王族が埋葬されているなかでヘンリー8世ウェストミンスター寺院への埋葬は許されずウィンザー城で眠っている。

ヘンリー7世の聖母の礼拝堂も素晴らしかった。

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このアーチ型の天井、チューダー朝のものらしい。いつまででも見ていられるよな…。

 

一応音楽を勉強していたので馴染み深いヘンデルさんのお墓も発見。ヘンデルはドイツ出身なんだけどイギリスで活躍したんだよね。

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さてオーディオガイドによるとウェストミンスター寺院にはヘンリー8世の4番目の王妃、アン・オブ・クレーヴズのお墓もあるらしい。

しかしながら案内の仕方がめっちゃ雑でして、どこにあるのか本当にわからず探し回った。

ようやく見つけたお墓。

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いやいや……みつかりませんて……。

逆によく見つけたなと自分をほめたい。

アン・オブ・クレーヴズは肖像画を見たヘンリー8世に見そめられ(そしてプロテスタントの王妃を迎えたいというクロムウェル卿の策略もあり)ドイツからわざわざ来て結婚したのに半年くらいで離婚させられて彼の妹として過ごした人。

フィリパ・グレゴリーのブーリン家の姉妹4悪しき遺産を何度も読んでいるが、結局この人がヘンリー8世の6人の王妃のうち、1番幸せだったんじゃないかと個人的には思う。

突然捨てられたわけでも反逆罪とかいって首を斬られたわけでもないし、王子を産んで命を落としたわけでもないし、墓を暴かれたわけでもない。

 

好きだった墓は(好きだった墓とは…?)

難産で死んでしまった妻を死から遠ざけようとする姿をあらわしたもの。

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死が夢に出てきそうな怖さ。

 

そして私がもしお墓を作るんだったらこういうのがいいなと思ったもの。

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絶妙に緩くて好き。

 

出口付近にあった踏まれすぎてこうなってしまったのかもともとこのような形状なのかわからないけど1082と読める古いお墓。

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お墓じゃないけどシェイクスピアの記念碑。

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建築、装飾、歴史、宗教、などなどなど様々な側面から楽しめる場所だった。大満足。

せっかくだから最後に寺院の前で写真を撮って貰った。

1人旅なので誰かに声をかけて撮って貰わなきゃだったが、そういう時は同じ旅行者っぽい人に声をかけるようにしていた。

アメリカ人のおじさんは勿論!といって撮ってくれたが上の方が絶妙に切れててなんか笑っちゃった。それもよき。

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次はボート乗り場へ向かった。ピーターパンの時計を横目に足早に歩く。

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ボート出発2分前にテムズ川のボート乗り場へ到着。お兄さんに急いでー!って言われて走りなんとか間に合った!ひい!

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景色を眺めながらどんぶらこっことグローブ座へ向かう。ボートもオイスターカードで乗れるなんてすごく便利だなあ。

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午後はグローブ座でA Midsummer Night's Dreamを観劇する。立見席を購入したのでなるべく早く行って並び良い席を確保しようと思っていたけど、グローブ座の入り口のスタッフの人にまだ早すぎるよ。14時からだよ。と言われてしまう。

 

そしたらなんか食べようかな、と思いぶらぶら歩くとパブを発見す。結構空いている。看板にはでっかくフィッシュ&チップスって書いてあって、せっかくだから食べてみようと中に入ってみた。が、システムがわからん。

するとロード・オブ・ザ・リングのメリーに似た店員が話しかけてきた。どうやら飲むだけなのかどうかを確認されているようだ。ご飯も食べたいというとメリーはめっちゃ早口でばばばばばっとなにやら説明してくれた。

まずテーブル選んで、であそこのカウンターで注文してねって、テーブルに番号が書いてあるからそれを伝えてね、とそんな感じだろうか。

おー…けい?(全然OKではない)といいながらわかりやすい番号のテーブルに目星をつけてカウンターに向かう。

するとエルフみたいに綺麗なお姉さんが微笑んできた。なんなんだここは。中つ国か。

とりあえずビールをば、とこれだけは完璧にしようと発音の練習をした「あぱいんとおぶびたー、ぷりーず」を言ってみる。

エルフのお姉さんはビターはこれとこれだけどとサーバーを指差して教えてくれて、こっちと指差してビールのオーダーは完了した。あとフィッシュ&チップス!プリーズ!テーブルの番号は1番!と頼んでみる。エルフのお姉さんはうんうん頷きながらサーバーのレバーをぐいっぐいっと引くとずんぐりとしたグラスに濃い茶色のビールがたっぷりと注がれた。素敵。寿命が伸びそう。

カードで支払いをしてテーブルへ戻る。

 

きゃー!!パブでビールが頼めたー!!!!

記念すべきパブでの1杯目!!!

 

さっそく飲んでみる。

噂通りそこまで冷たくはなく、飲むと喉奥で心地よい苦みと香りが広がって鼻に抜けた。とても美味しい。なるほど、これがびたーってやつなのね。

そこへフィッシュ&チップスがやってくる。f:id:nusyoku:20230701205840j:image

あ!げ!も!の!って感じ。とても大きなフライだ。でも思ったよりもジューシーで軽くて美味しい。全然べとべとしていない。タルタルで食べてもよし。レモンをかけてもよし。チップスはフライとは逆にねっとりと濃厚な食感。これもまたよし。そしてこれでもかこれでもかというほどのグリンピースをフォークでなんとか掬って食べた。

 

量が多かったけどばっちり完食!

 

重たくなったお腹を引きずるようにグローブ座へ戻る。チケットを見せるとマダムから右奥の扉の前で待つように言われた。すると20人ほど既に並んでいた。

立見席は舞台前の中庭の好きなところで観劇できる席。まわりの背が高いので出来れば前の方に陣取りたい。あんまり後ろだと舞台が見えない可能性がある。

 

心配は杞憂に終わりちゃっかり1番前をゲット。ライブハウスみたい。舞台に手が置ける距離感。

こんなに目の前の真ん中で見られるの?!と思わぬ幸運にびびりまくる。

 

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床の部分がちょうど口のあたりだった。

 

グローブ座は木造、茅葺き屋根と昔全焼してしまったエリザベス朝当時の姿を忠実に再現している。屋根付きの席は身分の高い人達の場所で今も結構良いお値段がする。

そして今も昔も中庭の立見席は庶民の場所。1番安く最安値£5。私は£10で購入したが、それでも十分過ぎるくらいお得だ。

上をみると空。

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中庭には天井がないので雨が降ったら雨にあたるしかない。でも舞台の目の前でかぶりついて観劇できるすごい席。運良く当日は見事な晴れ。あとは2時間半という公演時間に足が耐えられるかどうかだ。

舞台の天井には世界はひとつの舞台、という思想を基に惑星や十二宮図、恒星が描かれ

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ヘラクレスの柱と呼ばれ大きな2本の樹が左右に立っている。

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柱があるところ、能楽堂に似てて不思議な偶然だ。そういえばこの世ならざるものが出てくるところも、少し似てるかもしれないな。

 

A Midsummer Night's Dreamは昔観たが復習がてら行きの飛行機で映画を観てきた。

妖精と人間のカップルたち、そして余興の劇をするために集まった職人たちが織りなすはちゃめちゃな喜劇。

夏至の前の夜の出来事らしく、ちょうどだったのでこれは是非とも今日観劇せねばと思ったわけだ。

本当に目と鼻の先に役者さんがきて衣装の綻びすらも見えるくらい近い。唾もたくさん浴びた。目の前に演者の靴の足の裏が突き出されたこともあった。

 

舞台の上には大道具や大掛かりな演出は全くない。

ただただ役者自身の演技力とシェイクスピアの描いた筋書きが私たちを真夜中の森の中へと引き込んでいく。

こんなに近くで演技をみるのははじめてだったしそこがロンドンのグローブ座だということもあったけと、今までで1番良い演劇をみたなと思う。

 

そして本当の意味でダイバーシティだった。

私はダイバーシティがなんなのか、多分今までわかってなかった。

女が女の役を演じる必要も男が男を演じる必要もない。性別や肌の色、宗教、障がい、全く関係なくただ各々がその役を好きなように全力で演じている空間だった。

シェイクスピアの台本はクラッシック音楽の楽譜ではない。演劇は再現芸術ではない。

同じ台詞も全く違う風に表せるし、ひとりの、唯一無二の人間が演じるからこそそこに面白みがうまれる。

特に私の中でのパック!は完全に覆されたのに成立していたし、むしろこれも正しいと思うくらいの自由さだった。

最前列で演じるということの楽しさや熱量を惜しみなく唾と一緒に浴びせかけられ続けた贅沢な時間だった。

英語はわからないものの台詞を知っているのでお腹をかかえて笑ったし心の底から楽しめた。

もしまたここな来る機会があったら絶対にまた立見がいいなと思う。本当に近すぎる。

舞台が終わって拍手と一緒にフー!!!!って叫んでたし、出るときどうだった?ってスタッフの方にきかれてファンタスティック!!!!って心から叫んじゃった。

それくらい素晴らしい経験だった。すごいなあ。いいなあ。グローブ座。来月はマクベスをやるみたいだ。おまじないからやるんだろうか。また行きたいな。

 

そんなこんなで数時間立ちっぱなしではあったものの、全然疲れておらず、むしろ元気いっぱいだったのでイーストエンドへ夜ご飯を買いに行こうと考える。

オイスターでバスに乗って行く。本当に赤色!本当に二階建て!お目当ては美味しいと有名らしいソルトビーフベーグルだ。

イーストエンド自体が切り裂きジャックの事件の現場なのでバスに乗りながら通りを確かめ、あそこの通りで……とか、ここらへんにあるパブで働いていたら人が……とか思いを勝手に馳せる。切り裂きジャックはミステリ好きからすると面白い事件ではあるが、やっぱり怖いよなー。

しかしお目当てのパン屋さんのおばさんの方が怖かったりして、私の渾身のソルトビーフベーグル、プリーズは通じなかったよう。メニューを指さすと笑われてしまった。いいのよ。通じればいいの。

お昼ががっつりだったので全然お腹が空いておらずホテルに持ち帰って後から食べたけど、めちゃうまだった。まずベーグルがおいしい。もちもちでしっかしりている。あいだに挟まるのはこれでもか、これでもかというほどのソルトビーフ

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一緒に挟まっているピクルスとマスタードとのハーモニーが最高。ビールとの相性は言わずもがな。大変美味しくいただきました。

地球の歩き方に載ってて是非とも食べなければと思ってたの。食べられて良かった。

この日も時差ぼけはなくするっと眠った。

ロンドン旅行記1日目

ずっと行きたいなと思っていたロンドンに思い立って行ってきた。

そしてこれははじめての海外ひとり旅である。

せっかくなので旅行記を残そうと思う。

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さて今回そもそもパスポートの期限が切れていたのでまず申請するところからはじまった。

海外なんて6年前にパリに行った以来である。

コロナもあったしね。

 

せっかくなので久しぶりに化粧をし証明写真の台に座る。もうその時点でおそろしく唇が赤かった。加えてせっかくなのでとプリクラのノリで美白美肌効果もつけて撮影に臨んだら、パスポートセンターの人に瞳に光が入り過ぎちゃってるから自動ゲートにうまく認識されないかもしれません、と言われてしまった。

まあいいか、とその時はさらりと流し、航空券を購入。それからホテルを予約。Wi-Fiのレンタルも予約。もちろん保険にも入っておいた。

 

いやーしかしわかっちゃあいたがポンドがとってもとってもとっても高くて換算するたびに手が震えたわ!航空券とホテルは特にね!

こんな時にロンドンに行くなんてしかもお金のない脱職中に馬鹿やんと思いつつも、今しかこの季節のロンドンになんて行けないはず!と、えいやっと強行。

結果行けて本当によかったと思う。

 

飛行機は行きも帰りもBritish Airways 直行便でホテルはEARL'S COURT徒歩3分。

 

この旅行で叶えたい事は以下の通り。

 

アン・ブーリンゆかりの場所(憧れのお城ヒーバー城とハンプトンコートパレス、ロンドン塔)をたずねる

・パブでビールを飲む

ジントニックを飲む

アフタヌーンティーを体験する

パディントンに会う

 

予定は自分で組み立てた。団体行動が嫌いなのでツアーは無理なのだ。

かといって英語はろくすっぽできないしコミュニケーション能力もない。

そして脱職中の身である。

波乱の予感しかない。

 

あらゆる面で不安すぎたので色々な下調べを行い、いざ出発の日を迎えた。

 

朝8時頃の便だったので直通のバスで向かう。よく九州出張の時乗ってたやつだ。なつかしー。

 

羽田空港では特に問題もなくすいすいと手続きが進み、本当に海外に行けるんだなーと感動。コロナの間、もう二度と行けないんじゃないかなんて悲観的なことを考えていたから、尚更嬉しい。

搭乗口に向かうとまわりから殆ど日本語がきこえてこなくなっていて、機内ではもっときこえなくなっていった。

一応アナウンスは日本語で入りはしたが搭乗員の方々も当たり前に英語である。ぴゃー。

 

……これはもう、飲むしかない。

朝の9時から雲の上で飲むビールは非常に美味しかった。

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機内食はチキン。

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到着間際にもチキン。

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後ろの方の席だったので私にポークかチキンかみたいな選択肢はなかったが、どれもなかなか美味しかった。

 

14時間のフライトだった。

夕方の到着だったのでここで寝たら夜眠れなくなるぞと思いあまり寝ないで過ごす。

ブリティッシュエアウェイズの搭乗員さんたちはなんか妙に迫力があってすごかった。

 

機内食の時間になったらバーンって問答無用でリクライニングシート戻すし

アイスコーヒー下さいって言った人にはイギリスの航空会社なのでアイスコーヒーはありません!って言い放ってたし(リスニングにあまり自信がない)

着陸時にはイヤホン繋いでる人のコードを片っ端からぶちぶち引っこ抜いて回ってた。

 

私は日本の搭乗員さんの丁寧で親切すぎる感じがかえって苦手なので、逆に好ましく思ってしまった。

 

さてそんなこんなでヒースロー空港に着陸す。

もう完全に英語しか聞こえてこない。そしておそろしく眠い。日本時間じゃもう夜中だ。

とりあえず入国審査をば。歩いて歩いて辿り着いた先には沢山の人がいた。

日本は自動ゲートで認証できる国なのでそっちに並んだ。これパスポートをセットして顔認証して貰うだけなんだけど、全然ゲート開かず。

これがパスポートセンターの人が懸念していたやつねと天を仰ぐと、じゃあこっちに並んでと別の列に誘導される。

なんだろうこれどうすんだろ私…美白美肌効果なんてやめときゃよかった…などぐるぐる考えながら並び、しばらくするとパディントンに出てくるバード夫人(掃除機マニアでお酒強いおばあちゃん)に似たスタッフに呼ばれる。

怖い顔であなたなんでここにきたの?ときかれる。えーと自動ゲート試したんだけどうまくいかなくて…と説明すると怪訝そうな顔をされてしまった。わーお。どうやら私の英語がくそすぎて伝わらないようだと身振り手振りをつけて再度伝えると、バード夫人はちょっと笑って、違う違う、この国に来た理由、と言って……はじめてピンときた。

 

あ!!これ!!普通に入国審査受けてるのでは?!さいとしーいんぐの出番なのでは!!??

 

はずかすいー。

 

その後は滞在日数、いつ帰るか、滞在先などをきかれて終わり。ふいー。バード夫人は最後楽しんでねと言ってくれて比較的優しかった。

いやーなんとか無事入国出来た。ちょっと安心しながら預けた荷物を迎えに行く。も。待てども待てども出てこず。まじかー。行方不明を疑いかけた頃やっと出てきて、やれやれとスーツケースゴロゴロしながら歩き出す。

ヒースロー空港からホテルまでは地下鉄で行く予定で、ひとまずオイスターカードを手に入れようと機械の前に到着した。

 

オイスターカードは地下鉄もバスも船も乗れるすごく便利なカードで日本のSuicaとかPASMOみたいなやつらしい。

なんで牡蠣?って感じだが、シェイクスピアの劇の台詞から出来た慣用句The world is your oyster.からきているらしい。名前通り、思うがままにロンドンを観光するためには必要なアイテムに違いない。

オイスターを発行したりチャージしたりする機械は日本語対応もされているらしいということは事前に調べてきたので、日本語なら余裕よと画面を軽快にタッチする。も。ここでまた躓く。

クレジットカードが認証されないのだ。

持っているカードを全て試すもびざもますたーもじえーしーびーもだめ。ががーん。使えるはずなのになぜ!!

まじで?!これからどうやって生きていくの私?!

 

イギリスはカード社会だとのことだったので手持ちのポンドは殆どないし、もうすでに全然The world is your oysterどころではなく、To be, or not to beなテンション。初っ端からうまくいかないことばかりすぎやしませんか。

 

とりあえず機械をかえてみようと別の機械の前に立ちさっき撥ね付けられたマスターカードを挿入する。と拍子抜けするほど普通に発行できた。

 

よかったー!!!!よかったー!!!!あーもーーーよかったー!!!!

 

たかだかオイスターカードを発行できただけでとても幸せな気持ちになれた。気を取り直し引き締めて地下鉄へ。

 

地下鉄のロゴがとても可愛い。オイスターカードもレトロでなんか可愛いよね。

地下鉄にはじめて乗るのはなかなかに緊張した。

スリやひったくりが多いと聞いていたのでポシェットの上からパーカーを着て前を閉める。スマホも首から下げて同様にパーカーの中へ。

みんなおしゃべりでなんかめっちゃ話してるし色んな国の言葉が聞こえてくる。

何言ってるかわからないっていいわーと思いながら目を上げると、おそろしい広告を見つけ8度見くらいした。フェイクだよね……????(フェイクって書いてあった)

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そうこうしているうちに目的の駅へ着く。

EARL'S COURT駅のなにがよかったかって立地的にも機能的にも非常に便利な駅だったこと。

2線使える。空港から1本。主要な観光名所へ30分前後で行ける。エレベーターがある。スロープがある。特にスーツケースがある時は本当に助かった。

 

駅を出て持ち前の方向音痴を遺憾なく発揮し迷いかけるもなんとかホテルへ到着。徒歩3分で迷えるなんてもはや才能だと思う。この時気付いたんだけどロンドンにも通りひとつひとつに名前があるのね。これは本当にありがたいこと。

 

そんなこんなでチェックイン。問題なくできた。カードキーを受け取りながら、受付のお姉さんめちゃくちゃ可愛いなと思っていると目があった瞬間怒涛の勢いで英語を浴びせかけられる。ひいー。

ゆっくりお願いしますと頼むとにこにこしながらもう一度説明してくれた。

朝食の開始時間が平日と土日で違うとか、ベッドサイドのライトのボタンは下にあるとか、ドライヤーはサイドテーブルの下にあるとか、そういう事を言っていたようである(ほんとうかよ)

 

部屋に着くなりわあーっとベッドにダイブした。

 

ただ飛行機に乗ってホテルまできただけなのに、なかなか大変だったのだがー?!これから本当にやっていけるのかー?!

 

という不安と

 

でもなんとかなったやーん?!割と英語わかったし通じたような気がするー?!頑張ったやん!!

という達成感でまぜこぜになる。

 

ごろんごろんとし暫くするとお腹が空いてきた。

19時近いがまだまだ明るい。散歩がてら近くのスーパーへ行くことにした。

 

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ただの道でもなんだかとても素敵なのはなぜだろう。建物も木の感じも。歩いているだけで楽しい。

パブもみつけた。中をみると常連客で賑わっている。今日はさすがに行く元気はないわ〜と思いつつ店の名前をチェック。

歩きながら歩行者用の信号機は押すんだなーとか、みんな信号めっちゃ無視して渡るなーとか、道で歩く時誰かと電話をしていなければならないという条例でもあるのかと思うほどみんな電話してんなーとか、思いながら歩く。

 

スーパーはホテルの近くにあってめちゃくちゃ広い。海外のスーパーって面白いよね。

とりあえず食べ物とビールを手に取りレジへ。

レジではパスポート見せてって言われて戸惑った。

パスポートを見せたらへーえ?みたいな感じでマダムに瞬きをされる。そうなんですーもう私30歳なんですマダム。ビールくらい飲ませておくれマダム。

 

ホテルにレンジがあったのでレンチンできるものを買った。謎のパスタは普通にめちゃくちゃ美味しかった。

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21時くらいまで外は明るく。しかし私の体力や気力は限界を迎えていたようでシャワーを浴びてご飯を食べてすぐ寝た。

6月某日

6月になってすぐの日、富山の祖母を訪ねた。

新幹線から降りると線状降水帯とやらの影響から電車が止まっておりバスでえっちらおっちら向かう。久しぶりに会った祖母は背が縮んだように思えたが、相変わらずパワフルで圧倒された。

翌日からはよく晴れたので畑仕事へと駆り出された。絵に描いたような里山という感じの集落は田んぼと畑と山だらけで、最寄りのコンビニまでは徒歩35分という田舎である。

ほーほけきょとやけに上手に鳴く鳥の声を聴きながら人参を収穫したりそら豆を収穫したり玉ねぎを収穫したりした。特に玉ねぎは1000個ほど作ったそう。それを全部2人で収穫し納屋に運んだのだからそうとうな労働量である。腰やら太ももやらが筋肉痛でやられて、帰りの新幹線ではシートに腰掛ける時も一苦労だった。やれやれ。

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夜はうしがえるがもーもー鳴いていた。古い家の静かな室内。仏壇の目の前に布団を敷くので夜はなんとなく怖い。でも疲れているからすぐに眠れた。怖いといえば私は蜘蛛が大の苦手なのだが、田舎にいるともうそこらじゅうに当たり前のようにいらっしゃるので、いちいち気にしていられなるのも不思議だ。半日もすれば台所で皿を洗いながら、蜘蛛の巣に捕まった小蝿が蜘蛛に糸でぐるぐる巻きにされる様子なんかも冷静に眺めることができるようになる。蜘蛛の捕食対象が人でなくて本当によかったと思うし、蜘蛛があのサイズ感でいてくれて本当によかったと思った。

何をするでもなくただただ働かされた日々。朝から畑にいて気付くと19時になっているからすごい。

近所の92歳のおばあちゃんから柿の葉を貰ってうどの葉と一緒に天ぷらにしたり、そこらへんに生えてるくわの実を食べたりした。くわの実は黒々としていて青くさく、甘酸っぱいつぶつぶした種がいつまでも口の中に残っていた。そういえば小学生の時、下校中に食べたな。つつじの蜜もたくさん吸ったし、柘榴の木にも登って柘榴をたべた。頭に小さな蟻をたくさんくっつけて帰ったものだ。そんなことを思い出した。

なんだか日本昔ばなしみたいな時間だった。

祖母には仕事をしていないことをとうとう言わなかった。そもそも結婚をしていない、ということについてものすごく心配しているので、そこに無職というパワーワードが加わったら更に心配させてしまうだろう。それはかわいそうだ。

祖父にも会ってきた。施設で過ごしている祖父はまた一回り小さくなったような気がしたが、声は相変わらず大きかった。

5月某日

気づいたら5月も下旬になっており職があろうとなかろうと時の流れる速さは変わらないなあと感じる今日この頃。

なにしてたんだっけ。なんにもしてないな。

5月を振り返ってみる。

 

1週目

ムーミンバレーパークに愛犬と家族と行きボクシングにたくさん行った。

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2週目

友達に会って(なぜか中華の食べ放題に行って人工芝で寝た)友達に会って(バッティングセンターはじめていった!ダーツもした!いずれも下手くそだった)ボクシングにたくさん行った。

 

3週目

父の誕生日会をし(ご飯をたくさん作った)サウナに行き友達とキャンプに行き前職の後輩たちの飲んで髪の毛をくるくるにしてボクシングにたくさん行った。

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4週目

ボクシングにあまり行かずグレイスアンドフランキーばかり(ブリアナが好きすぎて彼女の台詞をシャドーイングしてたけど下ネタと暴言しか上達しないような気がしてやめた)を観ていた。母の誕生日会をした(ご飯をたくさん作った)リゴレットを観た(嫌いなオペラ。やっぱり嫌い…シナリオが)

ラーメンを食べた(ら鼻の下ににきびができた!ラーメンはおそろしく美味しかった)

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こうやって書くとなんにもしてないこともないなと思い出す。

基本的に遊んでいたな。

 

 

4月某日

6時半起床。久しぶりにスーツとパンプスで都会にいく。満員電車がやばすぎてやばやばやば。朝からPMS気味で機嫌が悪かったんだけど、都会にくると働く人々ばかりでこの中で職についてないの私くらいだなと思ったりしてなんだか良い気分になってしまった。

用事を終わらせてからさてどうする?と自分に問いかけるとスープカレーが食べたーい!という欲求が頭いっぱいに広がったので下北沢で下車。

野菜をもりもり食べた。すごいボリュームだった。衝動食いをしてしまうのはいかにもPMSって感じよね。

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それから次になにしたいー?と自分に問いかけた結果サウナに行きたいという欲求に包まれたのでサウナへ!!100度近いドライサウナは貸切状態で水風呂に入って外気浴してまたサウナに入ってと好きなだけサウナを楽しんだ。平日に時間があるっていいよな。どこ行ってもすいてる。

2時間ほどサウナをきめたあとの脳みそのぬるぬるした汚れがごそっと落ちた感覚が最高に好きですの。外気浴の最中に一瞬宇宙にいけるような気がした。

その後クラフトビールのお店があったからごきゅごきゅとビールを飲んでしまった。

お店の店員さんに注文をしたとき神妙な顔でお客様、あと3分でハッピアワーとなりビールが500円になりますので3分間お待ちいただくことをおすすめします!って言われて、はい!!!!と気合いたっぷりで返してしまったの。あの3分はとても長かったけどあの3分を経たことでビールがさらに美味しくなった気がしてよかった。

そして家に帰って夜にチキンタツタを食べてしまった。摂取カロリーがやばい。でも好き勝手したことによりPMSはすっかりなりをひそめた。

明日は絶対にボクシングをしまくる。

そう心に決めた。

4月某日

7時起床。かねてより友だちと計画をしていたアウトドアな日がやってきた!ということで色々と準備す。

星空が見られるというキャンプ場へやってきた私たちの頭上を覆う灰色の厚い雲たちよ。別に気にしないものー!といろいろなものを炭火で片っ端から焼いて食べました。

ウィンナー、フランクフルト、豚バラプチトマト巻き、ステーキなどなど肉!肉!肉!

ホイル焼きにしてじゃがいもとにんにくを放置!

きゅうりとレタスはそのままばりばり。

まわりに誰もいなくて暗くてそんななかでわちゃわちゃときいたことのない鳥の鳴き声をききながらバーベキューをするの楽しかった!

友だちが作ってくれたオニオンスープも美味でした!

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ご飯を食べてからログハウスに引っ込んで酒を飲みながらわけのわからん話をしたのも良かった。

そろそろAIが本格的な再現芸術をなしとげ演奏家にとってほ嫌な時代がくるんじゃないかみたいな話をして、でもいくらAIだって本当に再現できるかわからなくね?!という結論にいたった。

例えばモーツァルトが何年の何月何日にどこどこで演奏したなになにみたいのをAIが再現したとして、モーツァルトだって人間だもの。お腹壊してるかもしれないし前日に女の子に振られて精神状態やばやばだったかもしれないし当日に楽屋でいたしてハイテンションになってるかもしれない。そこまでは再現できなくなーい?というのが私たちの見解でこざる。人間にはね、色々あんのよ。やれるもんならやってみなさいとファイティングポーズ。ただ全てが正解だとは思わないようにしようとは思うのであった。

おおきなカメムシの襲来に夜中の朝方悲鳴をあげるなどしたけれど概ね平和にアウトドアを楽しみました。

本当はね、星空がとても綺麗な場所だったはずなの。高台だしね。それだけが悔やまれるのでまたリベンジすることを固く誓ったのでした。

4月某日

7時半起床。

田舎から午前中荷物が届く、クール便だから絶対に受け取って欲しいというので自宅待機。待てども待てどもこず。行こうと思っていたボクシングの予約を取消したところで到着。

立派なたけのこが3本と大量のふき、うどなどが入っていた。

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とりあえずたけのこのあく抜きをしてふきを茹で筋を取り気づいたら夕方になっていた。

新鮮で美味しいものを送って貰えるのは嬉しいことではあるものの、手間のかかりかたが半端ないよな。おそろしいことである。

ふきのすじをとってる間なんて他のことなんにもできないもんな。ふきのことしか考えられない。

うちに暇な人がいて本当によかったね、と思う。

たけのこご飯を炊いたらとても美味しくて報われた気がした。甘くてみずみずしくていくらでも食べられる気がした。